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AWS PRMの計測結果を確認するには?ダッシュボード・反映されない原因・案件への紐付け

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この記事の要点

Partner Revenue Measurement(PRM)の計測結果は、AWS Partner CentralのAttributed Revenue Dashboardで、製品別・AWSサービス別・請求月別に確認します。PRMを有効にしたことの確認(Onboarding Status)と、前月分のAttributed Revenue(帰属収益)の集計は別の時間軸であり、設定直後に収益がゼロでも、それだけでは失敗とは言えません。反映されないときは、設定、対象範囲、実際の課金、集計の時期の順に確認します。製品単位の計測結果を営業案件に対応付けるときは、Revenue Attribution IDで月別の配分を管理します。

Partner Revenue Measurement(PRM)を実装したあと、計測が有効になっているかを、どこで確かめればよいでしょうか。ダッシュボードを開くとAttributed Revenueがゼロで、設定の失敗なのか、集計を待つべき状態なのか、判断できない場面があります。この判断は、時間軸を分けると整理できます。

PRMは、AWS Marketplaceに掲載した製品が牽引したAWSの消費を、パートナーの帰属収益として計測する仕組みです。実装後は、Attributed Revenue Dashboard(帰属収益ダッシュボード)で、製品別・AWSサービス別・請求期間別の収益への影響を確認します。(PRMとは)

ここで混同しやすいのが、次の二つです。

  • PRMが有効になっているかの確認:製品が計測の対象として現れたかどうか。Onboarding Status(オンボーディング状況)で見ます。
  • 前月分の収益集計:月ごとに処理され、前月分が月末から17日後に利用可能になるAttributed Revenue(帰属収益)。

この二つは、別の状態であり、別の時間軸です。本記事では、ダッシュボードの見方、反映されないときの確認順、そして製品単位の計測結果を営業案件に対応付けるRevenue Attribution IDまでを扱います。

本記事の内容は、2026年10月29日に確認したAWSの公式ガイドにもとづきます。画面名や提供の時期は変わることがあるため、運用に組み込む前に各出典で最新の内容をご確認ください。PRMとは何か、2027年の資金支援との関係はPRMの概要と2027年の資金支援との関係で、実装方式の比較と設定はPRMの実装方式の比較と設定で整理しています。

Attributed Revenue Dashboardで確認できるもの

Attributed Revenue Dashboardは、AWS Partner Central(AWSコンソール)のPartner Analytics配下にあります。(Attributed Revenue Dashboard)画面は、主要な三つの指標、絞り込みのフィルター、二つのグラフ、二つのテーブルで構成されています。

部分内容
主要な指標Products Measured、AWS Services Measured、Total Attributed Revenue
フィルターTime Frame、Product Name、AWS Service、AWS Account ID
グラフAttributed Revenue by Product(製品ごとの月次推移)、Attributed Revenue by AWS Service
Attributed RevenueテーブルProduct Name、AWS Service、Billing Month、Attributed Revenue
Onboarding StatusテーブルProduct Name、PRM Capability、Status

(出典:Attributed Revenue Dashboard)

ダッシュボードを使うには、二つの前提条件があります。一つは、AWSコンソールの新しいAWS Partner Centralへ移行していることです。もう一つは、Resource Tagging(リソースタグ付け)かUser Agent String(ユーザーエージェント文字列)のいずれかを実装しているか、Amazon Machine Image(AMI)またはMachine Learning(ML)の製品をAWS Marketplaceに掲載していて、自動のAWS Marketplace Meteringで計測されることです。複数の子会社アカウントをAWS Partner Centralに接続しているパートナーは、接続したすべてのアカウントを合算した一つのビューで確認します。(Attributed Revenue Dashboard)

なお、ダッシュボードで見られるのは、製品とAWSサービスの単位に集計された収益です。公式の顧客向けFAQは、パートナーに渡るのは全顧客を通じた集計値のみで、個々の顧客に固有のPRMデータはパートナーに共有されないと明記しています。(顧客向けFAQ)フィルターにAWS Account IDが含まれていても、ダッシュボードを顧客ごとの請求明細の代わりと考えてはいけません。顧客単位の情報が必要な場面では、自社で案件に入力する情報や、自社が購入時に受け取った契約の情報を使います。

Products Measured・AWS Services Measured・Total Attributed Revenueの見方

主要な三つの指標は、次の定義で表示されます。

指標公式の定義読み方
Products Measured選択した期間に、PRMで帰属収益が計測された自社のAWS Marketplace製品の数実装した製品の数ではなく、収益が計測された製品の数
AWS Services Measured選択した期間に、自社製品が消費を牽引したAWSサービスの、重複を除いた数製品がどれだけ多様なAWSサービスの消費に繋がっているかの目安
Total Attributed Revenue全製品・全AWSサービスの帰属収益の合計自社製品が牽引したAWS消費の合計

(出典:Attributed Revenue Dashboard)

Total Attributed Revenueは、AWS Marketplaceの売上ではありません。PRMが測るのは、パートナーの製品が牽引した、AWSのサービスの消費です。(PRMとは)自社の売上や入金は、AWS Marketplaceの販売者向けレポートで確認します。この区別は、AWS Marketplaceの売上、利用量レポートで整理した四段階のデータ(送信記録、Daily Usage、請求、入金)と、PRMの帰属収益が別の系統であることを意味します。事業レビューで数字を並べるときは、自社の売上とAWSへの寄与を、別の指標として扱ってください。

AWS Service別のグラフを読むときは、対象サービスの範囲にも注意が必要です。Resource Taggingでは、対象外のサービスで捕捉された一部の支出がOtherに、User Agent方式ではMiscに集約されると、公式ガイドは説明しています。(Resource Taggingの対象サービス、User Agent方式の対象サービス)二つの方式では対象サービスの一覧が一致しません。そのため、自社が採用した方式の一覧を、方式ごとに確認します。

Onboarding Statusと月次のAttributed Revenueを分けて確認する

Onboarding Statusのテーブルには、Product Name、PRM Capability、Statusが並びます。PRM Capabilityは、Resource Tagging、User Agent string、AWS Marketplace Meteringのいずれかです。Statusは、その機能が実際に収益を計測しているかどうかを示します。(Attributed Revenue Dashboard)一方、Attributed Revenueのテーブルとグラフは、請求月ごとの金額です。

この二つは、見ているものも、時期も違います。時期については、Foundational Technical Review(FTR)の申請ガイドとダッシュボードのガイドに、別々の記述があります。FTRは、AWS Marketplaceに掲載したソフトウェアのソリューションが、セキュリティ・信頼性・運用の基準を満たすかをAWSが検証する仕組みです。(FTRの申請ガイド)

見るもの何を確かめるか時期に関する公式の記述
Onboarding StatusPRMが有効になり、製品が計測の対象として現れたかPRMを有効にしてから計測データが現れるまで最大7日(FTRの申請ガイド)
月次のAttributed Revenue請求月ごとの帰属収益の金額前月分が月末から17日後に利用可能(ダッシュボードのガイド)

(出典:FTRの申請ガイド、Attributed Revenue Dashboard)

FTRの申請ガイドは、PRMを有効にしてから計測データが現れるまで最大7日かかると説明しています。そして、製品がAttributed Revenue Dashboardにオンボーディング済みの製品として現れた時点で、PRMに関するチェックが完了します。この記載は、FTRの申請経路に含まれる前提条件の一つです。(FTRの申請ガイド)すべてのAWS Marketplace掲載に共通する条件ではありません。なお、この7日は、FTRの申請ガイドに記載された、計測データが現れるまでの上限の目安です。

一方、ダッシュボードのガイドは、帰属収益のデータが月次で処理され、前月分が月末から17日後に利用可能になると説明しています。(Attributed Revenue Dashboard)月末が31日でも30日でも、月が終わってから17日目、つまり翌月17日前後が、前月分の確認時期の目安です。

したがって、設定の直後にAttributed Revenueがゼロでも、それだけでは失敗とは言えません。まずOnboarding Statusで、製品が現れているかを確認します。製品が現れていれば、有効化は確認できており、金額は月次の処理を待つ段階です。製品が現れていなければ、設定の側を調べます。どちらの状態なのかを判断してから、次の確認順に進みます。

PRMを有効にする
   ↓  最大7日(FTRの申請ガイドの記載)
Onboarding Statusに製品が現れる(有効化の確認)
   ↓  月が終わる
月末から17日後に、前月分のAttributed Revenueが利用可能になる(収益の集計)

7日と17日は、別々のガイドに書かれた別々の時期です。二つを足した日数が保証されているわけではないため、実際の状況はダッシュボードで確認してください。

データが反映されないときの確認順

反映されない症状は、四つに分けて確認すると原因を絞り込めます。

状況確認すること次の行動
製品の計測が有効にならないAWS Partner Centralとのアカウント連携、採用した方式、Product Code、タグとUser Agentの形式実装の記事と公式のトラブルシューティングへ
有効なのに収益が表示されない対象の請求月、データの処理時期、サービスの対象範囲、実際に課金が発生している消費かどうか月次の更新前か、設定の不足かを区別する
User Agentが見つからないAWS SDKのクライアント、終端文字、対象のAPIとAWS CloudTrailの該当記録実際に送信されている値を確認する
製品の合計を案件に対応付けたいRevenue Attribution ID、Offer/Opportunity、請求月、必要な配分の情報月次の対応付けと確認担当を設計する

(出典:PRMのトラブルシューティング、Attributed Revenue Dashboard)

製品の計測が有効にならないとき

最初に確認するのは、実装の前提です。AWS Partner CentralにAWSアカウントをリンクしていること、AWS Cost Explorerが有効であること、AWS Marketplaceに製品が掲載されていることが前提条件です。(Resource Taggingの前提条件)そのうえで、Resource Taggingなら、次の点が公式のトラブルシューティングの確認項目です。

  • タグキーが aws-apn-id-{{partner-central-aws-account-id}}(または旧来の aws-apn-id)の形式になっているか
  • Partner CentralにリンクしたAWSアカウントIDが正しいか
  • タグの値が pc:product-code の形式か
  • Product CodeがAWS Marketplaceの掲載と一致しているか

User Agent方式では、APN_1.1/pc_<YOUR-PRODUCT-CODE>$ の形式と完全に一致しているかを確認します。形式の誤りとして、公式のトラブルシューティングには、終端の $ が省略された、またはシェルに処理されて剥がされた例、接頭辞の誤り、Product CodeではなくProduct IDやUUIDを使った例が挙がっています。(PRMのトラブルシューティング)Product Codeは、AWS Marketplace Management Portalで製品を選び、Product Summaryから取得します。これらの設定値と手順は、PRMの実装方式の比較と設定で整理しています。

有効なのに収益が表示されないとき

Onboarding Statusに製品が現れているのに金額が出ないときは、まず、見ている請求月が集計の提供時期を過ぎているかを確認します。前月分は月末から17日後に利用可能になるため、その前であれば、設定の不足とは区別できます。

提供時期を過ぎていても金額が出ないときは、次の点を順に確認します。

  1. 対象のサービスか:自社の製品が使っているAWSサービスが、採用した方式の対象一覧に含まれているか。対象外のサービスで捕捉された一部の支出は、Resource TaggingではOther、User Agent方式ではMiscに集約されます。対象外のサービスの支出が全額計測されるわけではないため、OtherやMiscの金額を、対象外サービスの支出の総額として読むことはできません。
  2. 実際に課金が発生する消費か:リソースが実際にAWSサービスを消費して課金されているか。AWS IAMのような無料のサービスは、タグを付けても帰属が生まれません。(PRMのトラブルシューティング)
  3. 月ごとのAPI操作があるか:User Agent方式では、リソースに対するAPI操作が月に1回以上必要です。その月に操作がないリソースは、その月の帰属に寄与しません。(User Agent方式)
  4. コントロールプレーンのAPIか:User Agent方式の対象は、管理(コントロールプレーン)のAPIのみで、データプレーンの操作は対象外です。(User Agent方式の対象サービス)
  5. AWS Marketplace Meteringの場合:帰属が出ない主な原因は、顧客がAWS Marketplace経由で購入・利用していないことです。(AWS Marketplace Metering方式)

User Agentが見つからないとき

User Agent方式では、実際に送信されている値を、AWS CloudTrailのログで確認します。公式のトラブルシューティングには、次の確認手順が記載されています。

  1. 1つのサービスクライアントだけでなく、正しいAWS SDKのクライアントの設定に適用されているか
  2. 終端の $ がシェルやランタイムに剥がされていないか
  3. AWS CloudTrailが有効で、該当のリージョンで該当のAPIを記録しているか
  4. AWS CloudTrailのイベントの userAgent フィールドに、文字列が入っているか

AWS CloudTrailのログからの確認には、公式ガイドに次のコマンドの例が記載されています。

aws logs filter-log-events \
  --log-group-name CloudTrail/YourLogGroup \
  --filter-pattern "APN_1.1" \
  --start-time 1640995200000

これは公式ガイドに記載された形式の例です。ロググループ名と開始時刻は、自社の環境に合わせて置き換えてください。実際に送信される値は、使用しているAWS SDKのバージョンによって変わり得るため、自社の環境のAWS CloudTrailで確かめます。(PRMのトラブルシューティング、User Agentの自動設定)

AWSに計測の判定を問い合わせるとき

自社で確認しても原因が分からないときは、AWSのパートナー担当、またはAWS Partner Network(APN)のサポート窓口であるAPN Supportに問い合わせます。計測が有効かどうかの判定は、AWS側の確認事項であり、Deshimaでは代行できません。公式の検証の依頼では、AWSアカウントID、リージョン、Product Code、サンプルのリソースARNを伝え、タグのスクリーンショットかAWS CloudTrailのログの抜粋と、テストを実施した時刻を添えます。回答までには、3〜5営業日かかります。AWS Marketplace Meteringで問題がある場合は、AWSアカウントID、Product Code、製品タイプ、事象と期待する動作を添えて、APN Supportにチケットを起票します。(PRMのトラブルシューティング)

製品の合計を案件に対応付けたいとき

製品単位の計測結果を営業案件に対応付けたい場合は、確認の対象がダッシュボードの外に広がります。Revenue Attribution ID、対象のOfferまたはOpportunity、請求月、必要な配分の情報を揃えます。この仕組みは、次の節で説明します。

Revenue Attribution IDとは何か、製品単位のPRMと何が違うか

製品の合計は確認できても、その収益が、どの営業案件に由来するのかは、ダッシュボードの製品別・AWSサービス別の集計だけでは分かりません。案件との対応付けに使うのが、Revenue Attribution ID(収益帰属ID)です。

公式のガイドは、Revenue Attribution IDを案件単位の識別子と説明しています。AWS Marketplaceの製品収益を、特定のAWS Marketplace Offer(オファー)や、AWS Partner CentralのOpportunity(案件)に対応付けます。IDは ra- で始まり、例として ra-aabbccddee001 のような形式です。(Revenue Attribution IDと案件の対応付け)

製品単位のPRMの上に載る仕組み

Revenue Attribution IDは、製品単位のPRMの実装の上に載る仕組みです。PRMが製品の帰属収益の合計を捉え、Revenue Attribution IDが、指定した月別のコスト配分率に従って、その収益を個別の案件に割り当てます。(Revenue Attribution IDと案件の対応付け)

観点製品単位のPRMRevenue Attribution ID
単位AWS Marketplaceの製品案件(OfferまたはOpportunity)
捉えるもの製品の帰属収益の合計合計のうち、各案件に割り当てる分
設定の場所リソースタグ、User Agent、AWS Marketplace MeteringAWS Partner CentralのSellメニュー、またはAPI

二つの使い方

Revenue Attribution IDには、二つの使い方があります。

  1. 既存の製品単位の実装への上乗せ:Revenue Attribution IDを作り、対象のAWS Marketplace OfferやOpportunityを関連付けます。すでに計測されている製品の収益が、その案件に対応付けられます。この場合、既存のリソースタグやUser Agentの変更は不要です。
  2. 単独の識別子としての利用:リソースタグの値に aws-apn-id = <RA ID>、またはUser Agentに APN_1.1/pc_<RA ID>$ を直接使い、最初から案件単位でAWSの消費を帰属させます。

(出典:Revenue Attribution IDと案件の対応付け)

PRMの実装方式の比較と設定で扱ったのは、通常のProduct Codeを使う方式です。Revenue Attribution IDを、タグやUser Agentの値に直接使う二つ目の方法は、そこでは扱っていません。案件単位で最初から帰属させたいのか、製品単位で計測した合計を後から案件に割り振りたいのかで、選ぶ方法が変わります。

Product Codeとの違い

似た名前の識別子が複数あるため、整理しておきます。

識別子形式・取得元用途
Product CodeAWS Marketplace Management Portalの製品の概要に表示される英数字PRMの三つの実装方式のすべてで使う
Revenue Attribution IDra- で始まる案件単位のID製品の収益を案件に対応付ける
Marketplace product ID25文字のIDRevenue Attribution IDのAPIで、製品を指定する(ProductIdentifier)

(出典:Product Codeの取得、Revenue Attribution IDと案件の対応付け、PRMのトラブルシューティング)

Product Codeの代わりにProduct IDやUUIDを使うことは、Product Codeの不一致の原因として、公式のトラブルシューティングに挙がっています。Revenue Attribution IDのAPIは、レスポンスの中でProduct Codeを解決して返します。

共有基盤のSaaSでOffer・ACE案件と月別配分を管理する

多くのSaaSは、複数の顧客(テナント)が同じAWSの基盤を共有しています。この場合、共有基盤で計測されたAWSの消費は、製品単位の合計としてしか捉えられません。その合計を、顧客ごとのOfferやAPN Customer Engagements(ACE)の案件に対応付けるには、月ごとの配分を決めて登録する必要があります。ACEは、AWSと安全に案件を共有して共同で営業するための枠組みです。(AWS Marketplace掲載後の共同販売)

登録の流れ

登録は、AWS Partner CentralコンソールのSellメニューにある、Revenue attributionから行います。手順は三つです。

  1. AWS Marketplaceの製品を選びます。子会社のアカウントの製品は、Marketplace product IDを手入力します。複数の製品が同じAWSリソースを共有している場合は、製品を選ばずに進めることもできます。その場合は、Revenue Attribution IDで計測されたすべての消費が対象になります。
  2. OfferまたはOpportunityを関連付け、月ごとの配分率を入力します。
  3. 内容を確認して送信します。

同じ操作は、APIでも行えます。たとえば、CreateRevenueAttribution、StartRevenueAttributionAllocationsTask(非同期で、1タスクあたり最大250件の作成と更新)などのAPIが用意されています。毎月の配分を登録する作業が多い場合は、APIによる自動化を検討します。(Revenue Attribution IDと案件の対応付け、Revenue Attribution IDの作成と月別配分)

エントリの項目

月別の配分は、エントリとして登録します。1件のエントリが、OfferまたはOpportunityと、Billing Month(請求月)の組み合わせ1つに対する配分率です。

項目内容
Offer IDまたはOpportunity ID対応付ける案件。OfferがすでにACEのOpportunityにリンクされていれば、Offer IDだけでよい
Nameダッシュボードで識別するための名前
Customer AWS Account ID顧客が製品を消費するAWSアカウント。マルチテナントSaaSでは必須
Billing Month配分率を適用する暦月
Cost Allocation %その請求月に、当該案件へ帰属させる、製品の総AWS消費の割合

(出典:Revenue Attribution IDの作成と月別配分)

Cost Allocation %は、マルチテナントSaaSで必須です。また、同じ請求月に2件以上の案件の関連付けが同時に有効な場合にも必須です。複数の月にまたがる案件は、月ごとに1件のエントリを追加します。

説明のための例

共有基盤で計測されたAWSの消費のうち、対象の月に、案件Aへ60%、案件Bへ40%を配分するケースを考えます。

請求月案件Cost Allocation %
2026年11月案件A(Offer ID)60%
2026年11月案件B(Opportunity ID)40%
合計100%

この例は、仕組みを説明するための仮定です。SaaSの販売額の比率を、そのままコスト配分率に使うことを推奨するものではありません。実際の配分の根拠、必要な顧客のAWSアカウント情報、案件の状態は、自社の構成とAWSの要件に従って決めてください。

配分のルールと編集の期限

配分には、次のルールがあります。

  • 同じRevenue Attribution IDの、同じ請求月のCost Allocation %の合計は、100%を超えられません。超えると、非同期の業務検証で、そのエントリが却下されます。
  • 当月と将来の月のエントリは、いつでも追加・更新できます。当月・将来の月の更新は、次の月次請求サイクルから適用されます。
  • 前月のエントリは、当月7日まで更新できます。この猶予は、AWS Cost Explorerで実際の使用量を確認してから、前月分の配分を確定するためのものです。
  • 7日を過ぎると、前月分の帰属は変更できません。過去の月の帰属は、遡って再計算されません。

(出典:Revenue Attribution IDの作成と月別配分)

ここで、時間軸を見直す必要があります。ダッシュボードで前月分の集計が利用可能になるのは月末から17日後で、前月分の配分を更新できる期限(当月7日)より後です。そのため、配分を確定する時点では、ダッシュボードの前月分を見られません。公式ガイドが期限までの確認先として挙げているのは、AWS Cost Explorerです。月ごとの担当と締めの日を、あらかじめ決めておく必要があるのは、このためです。

自社側で保持しておく情報

AWSに入力する配分の根拠は、自社側のデータから作ります。共有基盤で案件別の配分を設計するときは、少なくとも、次の対応を自社で追えるようにしておきます。

自社で保持する情報用途
購入者のAWSアカウントIDエントリのCustomer AWS Account IDの入力
Offer IDと契約の情報案件の特定と、Offerに関連付けたACEのOpportunityの確認
テナントと契約(ライセンス)の対応どのテナントの消費を、どの案件の配分に含めるかの判断
請求月ごとの配分の根拠と承認の記録毎月の配分の確定と、後からの説明

これらは、AWSが指定する構造ではなく、本記事の設計案です。テナントと契約の対応の持ち方は、AWS Marketplaceの契約をSaaSテナントに紐付けるには?で整理しています。同じAWSアカウントが複数の契約を結べる場合の扱いも、そちらで説明しています。

AWSとの事業レビューで説明する指標と運用の担当

AWSとの事業レビューで説明する指標は、次の三つの層に分けると整理しやすくなります。

層指標確認先
有効化Onboarding Status、Products MeasuredAttributed Revenue Dashboard
製品単位の寄与Total Attributed Revenue、AWS Service別・請求月別の推移Attributed Revenue Dashboard
案件単位の寄与Revenue Attribution IDで対応付けたOffer・Opportunityごとの配分AWS Partner CentralのRevenue attribution

自社の売上や入金は、これらとは別に、AWS Marketplaceの販売者向けレポートで確認します。二つを混ぜずに説明するための考え方は、AWS Marketplaceの売上、利用量レポートにあります。AWSと案件を共有して進める共同販売の枠組みは、AWS Marketplace掲載後の共同販売で整理しています。

運用では、次の三つの役割に分けて、担当を決めておきます。

担当主な役割
AWSアライアンス・運用担当AWS Partner Centralとのアカウント連携、ダッシュボードの確認、AWSとの事業レビューでの説明、AWSへの問い合わせ
技術担当タグやUser Agentの設定、AWS CloudTrailでの確認、Product Codeや形式の誤りの調査
事業・開発担当共有基盤の配分の根拠の作成、案件との対応付け、毎月7日までの前月分の確定

月ごとの流れは、次のようになります。

時期作業
当月中当月・将来の月の配分エントリの追加と更新(いつでも可能)
翌月7日までAWS Cost Explorerで前月の実際の使用量を確認し、前月分の配分を確定する
翌月17日前後以降ダッシュボードで前月分のAttributed Revenueを確認する

PRMの値は、2027年から、AWS Partnerの資金支援の特典を判定するために使われると、AWSのブログ(2026年9月30日公開)は説明しています。(新しいAttributed Revenue Dashboardの紹介)対象のプログラムや適格性の基準は、そのブログには記載がありません。詳細は、PRMの概要と2027年の資金支援との関係で整理しています。PRMの値が増えれば資金支援額も自動的に増える、と読むことはできません。計測の状態や資金支援との関係で、AWS側の判定が必要な点は、AWSのパートナー担当にご確認ください。

計測したデータを共同販売に活用する方針を整理する

計測したデータを、AWSとの共同販売や事業レビューにどう活用するかは、PRMの設定とは別の検討事項です。有償オプションのプロフェッショナルサービスでは、AWS Marketplace掲載方針の設計と、AWSとのCo-Sellのアドバイザリーを提供しています。計測結果をどの案件の説明に使うか、AWSの営業とどう連携するかといった方針の整理を、ご相談いただけます。内容と期間に応じて、個別にお見積りします。なお、PRMの実装の代行や、計測が有効かどうかの判定の代行は、提供の範囲に含まれません。

Deshimaの対応範囲

Deshimaは、SaaS Contract(SaaS契約。契約期間と購入する権利をあらかじめ定め、前払いまたは支払スケジュールで請求する料金モデル)型の製品について、AWS Marketplaceへの掲載準備、購入者と契約の情報の取得と同期、利用申請フォーム、Amazon EventBridgeへのイベント発行を担います。従量課金(メータリング)とChannel Partner Private Offer(CPPO)は対象外です。Concurrent Agreementsには対応済みです。

本記事で扱った、PRMのタグ付けやUser Agentの設定、Revenue Attribution IDの登録と月別の配分、Attributed Revenue Dashboardの運用は、Deshimaの機能には含まれません。Deshimaが取得して同期する購入者と契約の情報は、自社側で、テナントと契約の対応を持つときの入力として使えます。その対応を案件の配分にどう使うかは、自社の側で設計します。

Deshimaの利用料は、初期費用と月額費用がどちらも0円で、費用が発生するのは製品が売れたときの販売手数料のみです。料率は個別にご提案しています。対応範囲はトップページのFAQに、料金の考え方は料金のセクションに記載しています。

Deshimaは更新が多いため、最新の機能と対応範囲は、無料のアカウントを作成したうえで、プロダクト内のドキュメントでご確認ください。

よくある質問

設定した直後にAttributed Revenueがゼロでも失敗ですか?
直ちに失敗とは言えません。Partner Revenue Measurement(PRM)では、有効化の確認と前月分の収益集計は別の時間軸です。Foundational Technical Review(FTR)の申請ガイドは、PRMを有効にしてから計測データが現れるまで最大7日かかると説明しています。Attributed Revenue Dashboardの集計データは、前月分が月末から17日後に利用可能になります。まずOnboarding Statusで、製品が計測対象として表示されているかを確認してください。
PRMのデータはいつ反映されますか?
2026年10月29日時点の公式ガイドでは、二つの時期が別に書かれています。Partner Revenue Measurement(PRM)を有効にしてから、製品がオンボーディング済みとしてAttributed Revenue Dashboardに現れるまでは最大7日です(Foundational Technical Review(FTR)の申請ガイドの記載)。前月分のAttributed Revenue(帰属収益)は、月末から17日後に利用可能になります。この二つの日数を足した期間が保証されているわけではないため、実際の状況はダッシュボードで確認します。
Product CodeとRevenue Attribution IDは同じものですか?
別のものです。Product Codeは、AWS Marketplace Management Portalの製品の概要に表示される英数字の識別子で、Partner Revenue Measurement(PRM)の三つの実装方式のすべてで使います。Revenue Attribution IDは、`ra-` で始まる案件単位の識別子です。なお、Revenue Attribution IDのAPIが製品の指定に求めるのは25文字のMarketplace product IDで、これもProduct Codeとは別です。
共有基盤のSaaSで、案件ごとの寄与を扱えますか?
Revenue Attribution IDを使うと、製品単位のPartner Revenue Measurement(PRM)で捉えた収益を、AWS Marketplace OfferやAWS Partner CentralのOpportunityに、月別のコスト配分率で対応付けられます。マルチテナントSaaSでは、顧客のAWSアカウントIDとコスト配分率の入力が必須です。同じ請求月の配分の合計は100%を超えられず、前月分は当月7日まで更新できます。配分の根拠は、自社の構成とAWSの要件に従って決めます。
PRMの値が増えると資金支援額も自動的に増えますか?
自動的に増えるとは言えません。AWSのブログ(2026年9月30日公開)は、2027年からPartner Revenue Measurement(PRM)のAttributed Revenueが、AWS Partnerの資金支援の特典を判定するために使われると説明しています。ただし、このブログには、対象のプログラムや特典、適格性のしきい値の記載がありません。資金支援の扱いは、AWSのパートナー担当にご確認ください。