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価格と契約

AWS MarketplaceのEULAと標準契約|出品前に整理する利用規約、返金条件

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この記事の要点

AWS Marketplaceの販売者は、製品の準備段階で、購入者との契約として、独自のEnd User License Agreement(EULA)とAWSの標準契約であるStandard Contract for AWS Marketplace(SCMP)のどちらを使うかを決めます。Reseller Contract for AWS Marketplace(RCMP)は販売代理店との再販売の契約で、購入者には表示されません。EULAは販売者と購入者の契約であり、SCMPを選んでも、準拠法、保険、責任の上限といった条項を法務が確認する必要があります。有料製品には返金ポリシーの記載が必須で、SaaS Contract(SaaS契約。契約期間と購入する権利をあらかじめ定め、前払いまたは支払スケジュールで請求する料金モデル)のPublic Offer(パブリックオファー)では、購入から48時間以内に解約すれば購入者がAWS Customer Serviceに依頼して全額の返金を受けられるなど、AWSが定める返金ルールもあわせて適用されます。掲載ページの製品説明やサポートの記述はSCMPの契約内容に含まれるため、EULA、掲載ページ、返金ポリシーの内容は一致させておく必要があります。

出品の準備が進むと、製品の登録画面で、End User License Agreement(EULA)を指定する欄が表示されます。自社サイトの利用規約をPDFにして提出すれば済むのでしょうか。AWSが用意する標準契約を選ぶ道もあり、返金の方針はEULAとは別の欄で問われます。EULA、掲載ページの説明、返金ポリシーが別々の場所に書かれるとき、内容が食い違っていたら、購入者との関係でどの文書が優先されるのかは、画面を見ていても分かりません。

本記事は、契約文書を決めるときに確認すべき論点とAWS側の前提を、2026年10月5日時点の公式ドキュメントと標準契約の本文から整理したものです。条文や返金の規定は更新されることがあるため、判断の前には各出典で最新の内容をご確認ください。

製品ごとに決めるべきEULAの選択肢

製品を準備する販売者は、どのEULAが製品の利用を規律するかを決める必要があります。(標準契約の利用)公式ガイドが挙げる契約文書は三つです。(標準契約の利用)購入者との契約として選べるのは、このうち独自のEULAとStandard Contract for AWS Marketplace(SCMP)の二つです。

  • 独自のEULA:販売者が作成した契約を指定します
  • SCMP:AWSが購入者と販売者のコミュニティと作ったひな形で、調達の手続きを円滑にする目的があります
  • Reseller Contract for AWS Marketplace(RCMP):独立系ソフトウェアベンダー(ISV)が販売代理店に再販を認めるときのひな形です

この三つの契約文書は、同じ種類のものではありません。EULAは販売者と購入者の間の契約で、AWSは当事者に入りません。SCMPを使うかどうかも、販売者の任意です。(標準契約の利用)RCMPは販売者と販売代理店の間の文書で、Channel Partner Private Offer(CPPO)を作るときに再販の認可へ添付でき、購入者には表示されません。(標準契約の利用)なお、販売代理店を経由する取引の全体像は、AWS MarketplaceのCPPOとは?にまとめています。

掲載の工程の中で、独自のEULAかSCMPかの選択がどこに入るのかは、AWS MarketplaceにSaaSを出品する方法で確認できます。

SCMPは何を定めているのか

SCMPは、使用、保証、補償、準拠法といった主要な条項の共通の土台を、あらかじめ定めています。(標準契約の利用)

ただ、ひな形は「条項が定まっている」ことを意味しても、「自社にとって問題のない内容である」ことまでは意味しません。公式ガイドからリンクされたSCMPのPDFは、ファイル名の日付が2022年7月14日、脚注が「2023 Update」(2023年11月7日)で、販売者の側に次の義務が並んでいます(括弧内は条番号)。(SCMP本文)SCMPの採用を検討する時点の版は、別に確認が要ります。

  • 準拠法と裁判管轄:準拠法はニューヨーク州法で、訴訟はニューヨーク市の州裁判所と連邦裁判所に限られます。自社の規約が日本法と日本の裁判所を前提にしている場合は、最初に確認する項目になります(12.1)
  • 責任の上限:間接損害などの免責と、直前12か月に支払われた、または支払うべき金額を上限とする条項があります。この免責と上限は、故意、重大な過失、詐欺(8.2)と、補償義務に基づく防御費用、裁判所が認めた額、和解で合意した額(8.3)には適用されません。SaaSでは、プライバシーとセキュリティの条件やデータ保護法への違反から生じたセキュリティインシデントについて、通常の上限に代えて(上乗せではなく)、直前12か月の金額の3倍が上限になります(8.1、8.4)
  • 保証と返金:SaaSは、契約期間中、ドキュメントに実質的に適合することが保証されます。適合しない場合は、最長30日(合意で変更可)の是正期間を置き、直らなければ、購入者は契約を終了して、前払い料金のうち、購入者が保証違反を報告した時点で未使用だった分の日割りの返金を受けられます(5.1、5.3)
  • サポート:サポートは、掲載情報に書いたとおりに提供する義務になります(3.2、13.26)
  • データの返還と削除:購入者が契約の終了または満了より前に書面で請求したときは、終了または満了から45日以内(合意で変更可)に、購入者のデータを標準的な非独自形式で返します。購入者が自分で取り出せる場合は、その期間、取り出しと削除の確認を支援します。書面の請求という条件が、自分で取り出せる場合にも及ぶかどうかは、法務の確認事項です(10.3.2)
  • 保険:販売者は一定の保険を維持します。SaaSでは、サイバー賠償責任か技術職業賠償責任の保険を、1請求あたりと年間累計でそれぞれ200万米ドル分、そのほかにも複数の保険が求められます。一定の条件のもとで、自家保険も認められます(11)

どれも販売者の事業に直接かかわるため、法務だけでなく、保険を所管する部門にも関係します。

もう一つ、条文の外にも注意が要ります。SCMPを掲載に適用した時点で、販売者はSCMPプログラムに参加したことになります。AWSはひな形を随時更新でき、同じ条件を使う掲載を現行の版へ更新することがあります。プログラムから外れるには、SCMPを自社のEULAに差し替えます。(標準契約の利用)条文が自社の手を離れて更新され得ることは、採用の判断材料になります。

日本語の契約書を使えるか

AWS Marketplaceは、掲載内容を、日本語(ja-JP)を含む4言語に自動で翻訳します。ただし、販売者登録と製品の掲載情報は、英語で提出する必要があります。(翻訳と言語)

EULAは、対応言語で提出できます。その場合は、関連する掲載を国で地域指定し、その国の主要言語にする条件があります。(翻訳と言語)AWSが提供する標準契約の日本語版は参考用のサンプルで、法的な拘束力はありません。(対応言語)AWS Marketplaceは英語を基準の言語としているため、法務レビューは、参考訳ではなく英語の本文に対して行うことになります。(対応言語)

独自EULAを指定するときの実務

自社サイトの利用規約を独自のEULAとして流用する場合は、AWS側の形式の条件と、既存の条文の見直しが要ります。EULAはPDFで用意し、購入者が掲載ページで確認できるよう、Amazon Simple Storage Service(Amazon S3)上のリンクとして提出します。(SaaS製品の作成)製品を作成した後にEULAを変えるときは、変更リクエストの「Update EULA」から、SCMPを選ぶか、独自のEULAのURLを提出します。独自のEULAでは、Amazon S3のバケットを公開アクセスにする必要があります。(SaaS製品の設定)

この変更手順は、新たに購読するユーザー向けにEULAを更新するものとして案内されています。(SaaS製品の設定)更新後のEULAが既存の購読者へどう適用されるかは、ガイドに書かれていません。そのため、契約期間の途中でEULAの条件を変えたい場合の扱いは、法務と協議して決めておく項目です。

既存の利用規約を流用するときに見直しが必要になりやすいのは、次の二点です。

一つは、課金方法に関する条項です。SaaSの料金は、AWS Marketplaceに設定した料金ディメンションだけで請求し、販売者はクレジットカードや銀行口座の情報を集められません。(SaaS製品のガイドライン)そのため、自社でカード決済や請求書払いを行う前提で書かれた支払条項は、AWS Marketplace経由の購入には合わなくなります。これは公式ガイドの記述からの推測で、具体的にどの条項を直すかは、既存の規約によって変わります。

もう一つは、データの扱いです。ガイドラインは、データの収集、保管、利用、共有、保持、バックアップの扱いを、購入者向けの文書または請求に応じて開示することを求めています。削除については、EULAに定めた期間内に、不要になったとき、または購入者の求めに応じて行うよう求めています。(SaaS製品のガイドライン)削除の期間を参照する先がEULAなので、EULAには期間を書いておく必要があります。

Public OfferとPrivate Offerでの契約文書

Public Offer(パブリックオファー)には、製品に設定したEULAが適用されます。Private Offer(プライベートオファー)では、契約条件を取引ごとに選べます。Private Offerは、交渉した価格や条件で製品を購入するためのオファーで、価格、EULA、個別のソリューションを含められます。(Private Offerの作成)

観点Public OfferPrivate Offer
契約条件の選び方製品に設定したEULA(独自のEULAかSCMP)Public OfferのEULA、SCMP、独自の法的条件から選ぶ
独自の条件の入れ方EULAの更新リクエストでURLを提出法的条件、作業範囲書、部品表、価格表などの追補を最大5ファイル。1つの文書に統合される

表の出典は、Public Offerの欄がSaaS製品の設定、Private Offerの欄がPrivate Offerの作成です。

Private OfferでSCMPを使う場合、購入者は販売者にSCMPのひな形を求められ、取引ごとの要件に合わせて、当事者の合意で条文を修正できます。(標準契約の利用)

契約条件のさらなる変更が必要なときは、AWS Marketplaceのチームと、カスタムのPrivate Offerを作る道もあります。(製品の準備)自動更新の価格や回数といった更新条件も、オファーの中で設定し、購入者は承諾の前に確認します。(Private Offerの作成)なお、オファーの作成手順はAWS MarketplaceのPrivate Offerとは?に、更新条件はAWS MarketplaceのPrivate Offer自動更新に整理しています。

返金条件を決めるときの三つの層

返金の方針を書く欄は、販売者が自由に決められるように見えます。実際には、AWS側のルールがすでにあり、SCMPを選べば契約上の返金事由も加わります。AWS側のルールは、返金ポリシーの文言とは別に適用されます。自分たちで決められる部分は、採用した契約文書との整合を、法務が確認したうえで決めます。

掲載に記載すべき返金ポリシー

AWS Marketplaceのすべての有料製品には、ソフトウェア料金についての返金ポリシーを記載する必要があります。返金の条件と、返金を依頼するための販売者への連絡方法を含めます。内容は販売者が決めますが、掲載した返金ポリシーには従う義務があります。(AWS Marketplaceの返金と解約)

購入者は、サブスクリプションの管理画面に表示される販売者の返金ポリシーとサポート情報を確認して、返金の可否と連絡先を知ります。(購入者向けの返金と解約)返金ポリシーの変更は、変更リクエストの「Update refund policy」から行い、送信すると現在の内容が上書きされます。(SaaS製品の設定)

AWSが先に決めている返金ルール

AWSは、販売者の返金ポリシーとは別に、次のルールを定めています。製品の掲載、無料トライアルの有効化、メータリングの利用は、それぞれ該当するルールへの同意を意味します。(AWS Marketplaceの返金と解約)

場面AWSのルール販売者の操作
SaaS Contract(SaaS契約。契約期間と購入する権利をあらかじめ定め、前払いまたは支払スケジュールで請求する料金モデル)のPublic Offerで結んだ契約を、購入から48時間以内に解約した場合購入者の依頼でAWSが全額を返金する不要(販売者は関与しない)
無料トライアルから有料への転換転換から7日以内に発生した料金を、AWSが販売者に代わって返金できる不要
メータリングの誤りによる請求AWSが販売者に代わって返金できる。複数の購入者に共通する誤りでは、AWSが購入者ごとの額を決める不要
Private Offerの返金販売者の承認があって初めてAWSが処理できる承認が必要
ダウングレード販売者の承認があって初めてAWSが処理できる承認が必要

表の出典は、AWS Marketplaceの返金と解約です。

48時間以内の全額返金は、従量課金には当てはまりません。購入者向けのガイドは、従量課金では解約すれば以後の課金は止まるものの、48時間以内に解約しても発生済みの利用料は返金されないと案内しています。(購入者向けの返金と解約)

SaaS ContractのPublic Offerで、購入後に最初に適用されるのは、48時間以内の全額返金のルールです。ただし、SaaS ContractのPublic Offerを利用した購入者は、コンソールで自己解約できません。購入から48時間以内なら、購入者はAWS Customer Service(カスタマーサービス)に依頼して全額の返金を受けられ、販売者は関与しません。48時間を過ぎた場合の解約と返金は、販売者が開始します。(購入者向けの解約)購入者向けのガイドは、Private Offerの返金も販売者が開始するものとし、どちらの返金も販売者の返金ポリシーに従い、保証されないと案内しています。(購入者向けの返金と解約)

たとえば、SaaS ContractのPublic Offerで、返金ポリシーに「購入後の返金は一切しない」と書いても、48時間以内に解約した購入者が依頼すれば、AWSが販売者を介さずに全額を返金するので、掲載の文言と実際の返金対応が一致しません。このため、AWSのルールと重なる場面は、ルールのとおりに書き、販売者が決められる場面についてだけ、自社の方針を記載します。

SCMPが定める契約上の返金事由

SCMPを選ぶと、掲載の返金ポリシーとは別に、契約の条文が返金の根拠になる場面があります。本文に書かれているのは次の三つです。

  • 保証に適合しない状態が是正期間内に直らないとき、購入者は是正期間の終了から30日(合意で変更可)のあいだに契約を終了でき、前払い料金の日割りの返金を受けられます。日割りの基準は、購入者が保証違反を販売者に報告した時点で未使用だった分です。報告から解約までに時間が経っても、基準は報告の時点のままです(5.3)
  • 製品が第三者の知的財産権を侵害すると判断された場合や、差止めを受けた場合(どちらも、そのおそれがあると販売者が考える場合を含む)に、継続利用の権利の確保も、同等の機能への修正や交換も、商業的に合理的な方法ではできないとき、どちらの当事者も契約を終了でき、前払い料金の未使用分が日割りで返金されます(9.4)
  • 不可抗力が14日を超えて続くとき、前払いで一定量の利用を購入する料金モデル(Entitlement Pricing。前払いと分割払いを含み、SaaSではSaaS ContractとSaaS Contract with Consumptionの契約部分が当たります)では、購入者が未履行の部分を解約し、日割りの返金を受けられます(12.5、13.9)

(SCMP本文)

SCMPの返金事由は、本文の条文だけで決まるとは限りません。SCMPでは、合意した修正と掲載情報が本文より優先されるため、返金ポリシーは、採用した契約全体、合意した修正、掲載の方針の優先関係を踏まえて、整合を確認したうえで書きます。48時間返金のようなAWS側のルールは、この優先関係の外で適用されます。一方、SCMPを使わず独自のEULAを選ぶ場合は、同等の事由を自社の条文として定めるかどうかが、法務の判断になります。

返金と解約を実行する窓口

2026年3月31日から、販売者は、AWS Partner Centralの「Agreements」ページやAWS MarketplaceのAPIから、返金と解約を自分で申請できます。(自己申請での返金と契約取消)返金(請求の調整)は購入者の承認が要らず、解約は購入者の承認が必要です。(AWS Marketplaceの返金と解約)なお、申請の手順、Know Your Customer(KYC)の対象国での追加要件、解約後のSaaSの権限制御は、AWS Marketplaceの解約、返金対応で扱います。

掲載ページ、EULA、返金ポリシーの優先関係

文書が食い違ったときにどの文書が優先されるのかは、SCMPを選んだ場合、契約の条文に書かれています。SCMPは、一つの購読に適用される文書の優先順位を、次のように定めています。(SCMP本文)

1. 当事者が合意した修正
2. SaaS購読のプライバシーとセキュリティの条件
3. Non-Disclosure Agreement(NDA、ある場合)
4. 掲載情報(Product Listing)
5. SCMP本文

掲載情報は、SCMP本文より優先されます。SCMPは掲載情報を、AWS Marketplaceに載せた製品の説明とその他の製品情報で、サポートと、製品情報が組み込む、または参照する販売者の方針と手順を含むものと定義しています。(SCMP本文)したがって、掲載ページに書いたサポートの範囲や方針の記述がSCMP本文の条項と食い違うとき、本文の条文より掲載ページの記述が優先される構造です。当事者が合意した修正は掲載情報よりも上位にあります。この契約(SCMP本文、掲載情報、NDA、プライバシーとセキュリティの条件、合意した修正を合わせた全体)を変更、修正、放棄するには、両当事者の権限ある代表者が署名した書面が要ります。(SCMP本文の1.3、12.3)返金ポリシーの欄の記述まで掲載情報に当たるかどうかは解釈の問題で、当たる場合は、SCMP本文の返金事由との関係もこの優先順位で読むことになります。どちらに読むかは、法務の確認事項です。

そのため、掲載ページの更新は、マーケティングの作業にとどまりません。サポートの対応時間、返金の説明、契約期間の書き方を直すと、以後の購読に適用される契約の内容が変わり得るからです。既存の購読に、変更後の掲載情報が及ぶかどうかは、署名した書面が要るという12.3との関係を含めて、法務の確認事項です。一方、独自のEULAを使う場合は、文書が食い違ったときの優先順位を自社の文書で定めるかどうかを、法務と決めておく必要があります。

食い違いを防ぐには、同じ内容が複数の場所に書かれる項目を洗い出して、揃えます。

項目書かれる場所揃える相手
サポート掲載のサポート情報、EULAまたはSCMPのサポート条項、SaaS内の連絡先購入者が簡単に助けを求められること。連絡先は、購入後に遷移するページに明記しておく
返金掲載の返金ポリシー、EULAの返金条項、SaaS内の案内AWSの返金ルール、SCMPの返金事由、実際の運用
契約終了後のデータEULAまたはSCMPの返還と削除の期間、SaaSの削除運用削除はEULAに定めた期間内に行う、というガイドライン。SCMPでは、返還の請求は終了または満了より前の書面
価格改定EULAの改定条項、掲載の価格Public Offerの値上げは、既存の購読者には通知から90日を経た翌月1日に有効になる
自動更新EULAの更新条項、オファーの更新設定Public OfferのSaaS Contractでは、購入者が自動更新に同意でき、購入者は更新設定をいつでも変更できる。更新条件を設定したPrivate Offerの契約は、購入者も販売者も更新判断の期限まで自動更新を止められ、販売者の停止は取り消せない(販売者が止めると購入者は再開できない)

表の出典は、サポートとデータの行がSaaS製品のガイドライン(データの行のSCMPの条件はSCMP本文の10.3.2)、価格改定の行が製品の価格設定、自動更新の行がSaaS契約の料金と更新の管理です。

これらの項目の担当は、おおむね次のように分かれます。EULAの条文は法務、保険の維持は経理や総務、返金の方針は事業、返金や解約の後の権限制御はSaaSの開発が受け持ちます。掲載を提出する前に、この四者の間で、どの文書を正とするのかを決めておく必要があります。

契約文書の確認と社内のレビュー

確認を依頼する前に手元でできる作業は、採用候補の契約文書の本文を、掲載ページの説明と返金ポリシーと並べて読み、食い違う箇所を書き出しておくことです。独自のEULAなら自社の規約のPDFを、SCMPなら採用を検討する時点の版の本文を読みます。

本記事は、公開されている契約文書の要約です。採用する契約文書の条文と自社の条件については、最終的に自社の法務担当か弁護士の確認を取ってください。

Deshimaは、契約文書の選択も、その内容の確認も代行しません。Deshimaでは、掲載の手順の全体像を日本語の掲載ガイドで案内しています。Deshimaは更新が多いため、最新の機能と対応範囲は、無料のアカウントを作成したうえで、プロダクト内のドキュメントでご確認ください。

よくある質問

AWS Marketplaceで使えるEULAの選択肢は何ですか?
購入者との契約には、独自のEnd User License Agreement(EULA)か、AWSが用意した標準契約のStandard Contract for AWS Marketplace(SCMP)を使います。EULAは販売者と購入者の間の契約で、AWSは当事者ではありません。公式ガイドにはもう一つ、独立系ソフトウェアベンダー(ISV)が販売代理店に再販を認めるときのReseller Contract for AWS Marketplace(RCMP)が載っていますが、これは販売代理店との再販売の契約のひな形で、購入者には表示されません。
SCMPを選べば、契約条件の検討は不要になりますか?
不要にはなりません。Standard Contract for AWS Marketplace(SCMP)の使用は販売者の任意で、条文には準拠法、責任の上限、保証と返金、データの返還、保険の維持などの義務が含まれます。公式ガイドが案内するSCMPのPDFでは、準拠法はニューヨーク州法で、訴訟はニューヨーク市の裁判所に限られています。また、AWSはひな形を更新することがあり、その場合は同じ条件を使う掲載も現行の版に更新されることがあります。採用の可否は法務の確認が前提です。
返金ポリシーは必ず掲載する必要がありますか?
必要です。AWS Marketplaceのすべての有料製品には、ソフトウェア料金の返金ポリシーを記載する必要があります。返金の条件と、返金を依頼するための販売者への連絡方法を含めます。内容は販売者が決めますが、掲載した返金ポリシーには従う義務があります。
SaaS ContractのPublic Offerで結んだ契約を購入から48時間以内に解約された場合、返金は誰が行いますか?
SaaS Contract(SaaS契約。契約期間と購入する権利をあらかじめ定め、前払いまたは支払スケジュールで請求する料金モデル)のPublic Offer(パブリックオファー)では、購入から48時間以内に解約すれば、購入者がAWS Customer Serviceに依頼して、AWSから全額の返金を受けられます。販売者の操作は要りません。購入者はコンソールで自己解約できず、返金も自動ではなく依頼が必要です。従量課金については、購入者ガイドが、48時間以内に解約しても発生済みの利用料は返金されないと案内しています。48時間を過ぎた後の返金と、Private Offer(プライベートオファー)の返金は、販売者が開始し、掲載した返金ポリシーに従います。
SCMPやEULAを日本語で提供できますか?
AWS Marketplaceは、掲載内容を日本語を含む4言語に自動で翻訳しますが、販売者登録と製品の掲載情報は英語で提出する必要があります。End User License Agreement(EULA)は対応言語で提出できますが、関連する掲載を国で地域指定し、その国の主要言語にする条件があります。AWSが提供する標準契約の日本語版は参考用で、法的な拘束力はありません。