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AWS Marketplaceで日本円のPrivate Offerは作れる?JPY価格と送金設定

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この記事の要点

AWS Marketplaceで日本円(JPY)の価格を付けられるのはPrivate Offer(プライベートオファー)だけで、Public Offer(パブリックオファー)の価格はUSDのみです。JPYのPrivate Offerを作る前に、販売者はJPYの送金方法を設定します。Private Offerは、SaaS Contract(SaaS契約。契約期間と購入する権利をあらかじめ定め、前払いまたは支払スケジュールで請求する料金モデル)、SaaS Contract with Consumption(従量制料金によるSaaS契約。契約の料金に加えて超過分を従量で請求する料金モデル)、SaaS Subscription(SaaSサブスクリプション。時間単位の使用量に応じて請求する従量課金の料金モデル)のいずれでも、USD以外の通貨で作成できます。JPYのオファーは、購入者への請求も販売者への送金もオファーと同じ通貨で行われ、為替レートを決める時期だけが料金モデルで異なります。

国内の顧客から「円建てで見積もってもらえますか」と聞かれたとき、AWS Marketplaceの価格はドルのはずだと、返事に詰まるかもしれません。

日本円(JPY)のPrivate Offer(プライベートオファー)は作れます。円で価格を付けられるのは、特定の購入者に向けて出すPrivate Offerだけで、Public Offer(パブリックオファー)はUSDのままです。(送金方法の設定、AWSの発表)JPYのPrivate Offerを作る前には、JPYの送金方法を設定しておく必要があります。(Private Offerの多通貨設定)

ただし、「円建て」と一口に言っても、円になるものと円にならないものがあります。購入者への請求と販売者への送金は円ですが、AWS側の価格はUSDのままで、SaaS Contract(SaaS契約。契約期間と購入する権利をあらかじめ定め、前払いまたは支払スケジュールで請求する料金モデル)では承諾時に円の価格が米ドルへ換算され、為替レートが固定されます。(購入者ガイド(多通貨のPrivate Offer))一方、従量課金を含むオファーでは、為替レートを決める時期がSaaS Contractと異なります。

本記事は、2026年10月5日に確認したAWSの公式ドキュメントと発表にもとづきます。画面の名称や仕様は変わることがあるため、操作の前には各出典で最新の内容をご確認ください。対象は、日本の法人がSaaSを日本円のPrivate Offerで販売する場合です。

円で価格を付けられるのはPrivate Offerだけ

公式ガイドによると、Public OfferはUSDでしか作成できません。すべての販売者にUSDの送金方法の設定が求められるのも、この理由からです。(送金方法の設定)

2026年10月5日時点では、Private Offerには、USD、EUR、GBP、AUD、JPYの通貨を選べます。INRはインドの販売者に限られます。対象となる料金モデルは、SaaS Contract、SaaS Contract with Consumption(従量制料金によるSaaS契約。契約の料金に加えて超過分を従量で請求する料金モデル)、SaaS Subscription(SaaSサブスクリプション。時間単位の使用量に応じて請求する従量課金の料金モデル)の三つで、従量課金を含むオファーも円建てで作成できます。(Private Offerの多通貨設定、Private OfferのFAQ)

USD以外の通貨で作れるPrivate Offerの対象は、段階的に広がってきました。2024年10月24日のAWSブログの時点では、ローカル通貨のオファーは契約のみの料金(contract-only pricing)の製品が対象でした。(AWSブログ)2025年10月7日の発表で、SaaS Contract with ConsumptionとSaaS Subscriptionにも対象が広がり、EUR、GBP、AUD、JPYでオファーを作成して、オファーと同じ通貨で送金を受けられると案内されました。(AWSの発表)

Private Offerを出せるのは、有効な公開リスティングを少なくとも一つ保有している販売者です。(Private Offerの作成)なお、Public Offerとの違いや、承諾後の流れは、AWS MarketplaceのPrivate Offerとは?でまとめています。

オファー、請求、送金で、通貨はどうなるのか

円建てのPrivate Offerでは、価格、請求、送金が同じ通貨になります。AWS内部の価格だけが、USDのまま残ります。

場面通貨根拠の要点
オファーの価格販売者が作成画面で選んだ通貨(JPY)作成画面で、料金モデルや期間と並べて通貨を選びます
購入者への請求オファーの通貨(JPY)購入者のアカウントの通貨設定より優先されます
販売者への送金オファーと同じ通貨(JPY)販売手数料もオファーの通貨で差し引かれます
AWS内部の価格USDSaaS Contractは承諾時に米ドルへ換算して為替レートを固定し、従量分は毎月更新されるレートで換算します(料金モデルごとの違いは「為替の扱いは料金モデルで変わる」で整理します)

表の出典は、オファーの価格の行がPrivate Offerの作成、購入者への請求とAWS内部の価格の行が購入者ガイド(支払い)と購入者ガイド(多通貨のPrivate Offer)、販売者への送金の行が送金の管理とPrivate OfferのFAQです。

購入者は、AWSアカウントに、請求書の表示通貨を設定できます。ただし、JPY、EUR、GBP、AUDのPrivate Offerは、この設定を上書きして、オファーの通貨で請求されます。(購入者ガイド(支払い))

AWSの案内は、販売者が選んだ通貨で購入者が契約期間の全体にわたって請求されるため、複数年契約の為替変動がなくなると説明しています。(ISV Seller Journey in AWS Marketplace)

為替の扱いは料金モデルで変わる

AWS内部の価格はUSDのため、円の価格を米ドルに換算するレートが必要になり、そのレートをいつ決めるかが料金モデルで異なります。

料金モデル為替レート購入者の請求書
SaaS Contract承諾時にUSDへ換算し、契約期間を通じて固定しますUSDの価格、固定した為替レート、円の価格が並びます
SaaS Contract with Consumption契約部分は固定されます。契約を超えた従量分は毎月更新されます従量分の請求書は、USDの価格と変動する為替レートを示します。円の単価は変わりません
SaaS Subscription毎月更新されます従量分の請求書は、USDの価格と変動する為替レートを示します。円の単価は変わりません

表の出典は、購入者ガイド(多通貨のPrivate Offer)と、従量分は請求処理の前に毎月更新されると案内するPrivate OfferのFAQです。

SaaS Contractでは、為替換算のために、請求額に小さな端数のずれが生じることがまれにあると、購入者ガイドに書かれています。(購入者ガイド(多通貨のPrivate Offer))なお、料金モデルそのものの選び方は、AWS MarketplaceのSaaS料金モデルで比べています。

円建てで作る前に済ませておくべき設定

送金方法と口座

JPYのPrivate Offerを作る前に、その通貨の送金方法を設定しておく必要があります。(Private Offerの多通貨設定、送金の管理)

手順は次のとおりです。(送金方法の設定、送金の管理)

  1. USDの送金方法を設定します。インドの販売者を除き、すべての販売者に必須です。
  2. JPYを受け取れる口座を用意します。USD以外の通貨で受け取るにはSWIFT口座が必要で、銀行がSWIFT送金に対応している必要があります。
  3. AWS Partner Centralの「Settings」から「Payment information」タブを開き、「Add disbursement method」でJPYと受取口座、送金の頻度を選びます。

2026年10月5日時点の公式ガイドでは、対応している場合に限り、複数の通貨を一つの口座に割り当てられます。(送金方法の設定、送金の管理)既存の口座でJPYも受け取れるかは、取引銀行と設定画面で確認します。

なお、口座の登録、送金の頻度、しきい値、入金のタイミングは、AWS Marketplaceの売上受取設定で整理しています。

購入者のAWSアカウント

オファーを出す購入者は、選んだ通貨に対応するリージョンのAWSアカウントを保有している必要があります。(Private Offerの作成)2026年10月5日時点で、日本のAWSアカウントに請求するAWS Japan G.K.が扱う通貨は、JPYとUSDです。(購入者ガイド(支払い))Private Offerで選べる通貨にはEUR、GBP、AUDもあり、多通貨のPrivate Offerは日本国内に限った機能ではありません。一方、どのリージョンがJPYに対応するのかは、確認したページに書かれていません。そのため、日本国外のアカウントにJPYのオファーを出せるかは、断定できません。

購入者の所在地が変わり、請求書を発行するAWS Marketplaceの運営主体が変わると、為替レートを固定したオファーは取り消されます。その場合は、購入者が販売者に連絡し、販売者が新しいオファーを出し直します。(購入者ガイド(多通貨のPrivate Offer))

オファー作成画面で通貨を選ぶとき

通貨を選ぶのは、作成の途中にある「Configure offer pricing and duration」の画面です。この画面では、料金モデル、契約期間、価格、支払スケジュールと並べて通貨を選びます。(Private Offerの作成)通貨の欄で選べるのは、送金方法を設定済みの通貨だけです。(送金の管理)なお、作成の流れ全体は、AWS MarketplaceのPrivate Offerとは?でまとめています。

支払スケジュール(分割請求)と円建ての組み合わせは、APIでは対応しています。Catalog APIのUpdatePaymentScheduleTermsは、支払スケジュール(PaymentScheduleTerm)の通貨として、USD、AUD、EUR、GBP、JPYを指定できます。(Private OfferのCatalog API)価格と支払スケジュールには、同じ通貨を指定する必要があります。(Private OfferのCatalog API)分割請求を使えるのは、一部の製品と料金モデルのPrivate Offerに限られます。(Private Offerの分割払い)JPYで作る場合は、前の節で書いたJPYの送金方法と、購入者のAWSアカウントの条件も満たしている必要があります。コンソールの分割請求の手順は金額の通貨に触れていないため、画面でJPYの支払スケジュールをどう操作するかは確認が要ります。(Private Offerの分割払い)

一度出したオファー(APIではリリース済みのオファー)の通貨は、あとから変えられません。Catalog APIでは、リリース後に通貨を変える更新は、INCOMPATIBLE_CURRENCY_CODEのエラーになります。(Private OfferのCatalog API)公式には、複製して新しいオファーを出し、元のオファーを取り消す手順が用意されています。(Private Offerの作成)誤った通貨でオファーを出したときの方針として、本記事は、この手順で正しい通貨を設定した新しいオファーを作り直すことを提案します。複製の際に通貨を変えられるかだけは、画面での確認が要ります。元のオファーを取り消しても、購入者がすでに承諾した契約には影響しません。(Private Offerの作成)そのため、この手順で直せるのは、購入者が承諾する前の誤りに限られます。

円建てで見積もる前に、経理が確認すること

営業が円建てを約束する前に、経理との間で次の項目を確認しておくと、承諾後に送金や請求、税の扱いで手戻りが起きにくくなります。

  • 販売手数料:手数料率は税抜の契約総額を基準に計算され、円建てのオファーでは、販売手数料は円で差し引かれます。(販売手数料、Private OfferのFAQ)手数料率の区分は米ドルで書かれており、円建ての総額がどう当てはまるかは、確認したページに書かれていません。なお、手数料率の全体は、AWS Marketplaceの手数料で扱っています。
  • 消費税:日本の販売者が日本のAWSアカウントに販売する場合、2025年4月1日以降はAWS Japanが10%の消費税を徴収し、適格請求書を発行して、徴収分を販売者に送金します。販売者は、法人番号と消費税の登録番号をAWS Marketplace Management Portalに入力し、納税します。(税務情報の提供)円建てかどうかによる違いは、確認したページに書かれていません。自社の取引への適用は、税理士など税務の担当者に確認してください。
  • 購入者の経理:購入者のAWS Cost and Usage Reportsは、非USDのPrivate Offerでも、米ドルの金額のみを表示します。円建ての金額は、請求書で確認する必要があると案内されています。(購入者ガイド(多通貨のPrivate Offer))見積もりの時点で購入者に伝えておくと、購入者の経理がAWS Cost and Usage Reportsと請求書の金額の違いを事前に把握できます。
  • 複数通貨の請求書:購入者が別の通貨のオファーを受けると、通貨ごとに別の請求書が届きます。(Private OfferのFAQ)
  • 入金の突合:送金は、購入者から代金が回収されたあとに行われます。(送金の管理)売上と入金の突合に使うレポートは、AWS Marketplaceの売上と利用量のレポートで整理しています。円建ての取引がレポートでどう表示されるかは、レポートの画面で確認が要ります。

円建てで見積もってほしいと言われたら

「円建てで見積もってもらえますか」には、「円建てのPrivate Offerを出せます」と答えられます。オファーを出す前にJPYの送金方法を設定しておけば、SaaS Contractでも、SaaS Contract with Consumptionでも、SaaS Subscriptionでも、購入者への請求と販売者への送金は円になります。ただし、料金モデルによって変わるのは、円の価格を米ドルに換算する為替レートを決める時期です。

Deshimaの対応範囲

AWS Marketplaceへの掲載を支援するDeshimaは、2026年10月5日時点では、SaaS Contract型のみに対応しています。従量課金(メータリング)とChannel Partner Private Offer(CPPO)は対象外のため、本記事で触れた従量課金を含む円建てオファーは、Deshimaの対応範囲に入りません。Deshimaは更新が多いため、最新の機能と対応範囲は、無料のアカウントを作成したうえで、プロダクト内のドキュメントでご確認ください。

Deshimaが円建てのPrivate Offerにどこまで関われるかは、日本向け販売の準備事項とあわせて、個別にご相談ください。

Deshimaの利用料は、初期費用と月額費用がどちらも0円で、費用が発生するのは製品が売れたときの販売手数料のみです。料率は個別にご提案しています。AWS Marketplaceの販売手数料、自社側の実装と運用の工数、必要なAWSリソースの費用は、Deshimaの利用料とは別にかかります。対応しているプロダクトタイプはトップページのFAQに、料金の考え方は料金のセクションに記載しています。

よくある質問

AWS Marketplaceで、日本円のPublic Offerは作れますか?
作れません。Public Offer(パブリックオファー)はUSDでしか作成できないと公式ガイドに明記されています。日本円(JPY)で価格を付けられるのは、特定の購入者に向けて出すPrivate Offerです。Private Offerには、USD、ユーロ、英ポンド、豪ドル、日本円を選べます。
日本円のPrivate Offerを作る前に、何を設定しますか?
日本円の送金方法を先に設定します。公式ガイドは、オファーを作る通貨ごとに送金方法を設定しておくことを求めており、設定していない通貨は作成画面で選べません。USD以外の通貨を受け取る口座はSWIFT口座である必要があり、USDの送金方法の設定も、すべての販売者に必須のままです。
日本円のPrivate Offerでは、為替レートはどうなりますか?
料金モデルによって異なります。SaaS Contract(SaaS契約。契約期間と購入する権利をあらかじめ定め、前払いまたは支払スケジュールで請求する料金モデル)では、承諾時にAWSが円の価格を米ドルに換算し、為替レートを契約期間を通じて固定します。SaaS Contract with Consumption(従量制料金によるSaaS契約。契約の料金に加えて超過分を従量で請求する料金モデル)やSaaS Subscription(SaaSサブスクリプション。時間単位の使用量に応じて請求する従量課金の料金モデル)では、従量分の為替レートが毎月更新されますが、円建ての単価は変わらないと案内されています。
従量課金を含むPrivate Offerも、日本円で作れますか?
作れます。Private Offer(プライベートオファー)は、SaaS Contract(SaaS契約。契約期間と購入する権利をあらかじめ定め、前払いまたは支払スケジュールで請求する料金モデル)、SaaS Contract with Consumption(従量制料金によるSaaS契約。契約の料金に加えて超過分を従量で請求する料金モデル)、SaaS Subscription(SaaSサブスクリプション。時間単位の使用量に応じて請求する従量課金の料金モデル)のいずれでも、USD以外の通貨(EUR、GBP、AUD、JPY。INRはインドの販売者のみ)で作成できます。Public Offer(パブリックオファー)がUSDのみである点は変わりません。作る前に、JPYの送金方法を設定しておく必要があります。
日本円のPrivate Offerの請求書は、購入者にどの通貨で届きますか?
オファーの通貨である日本円で届きます。公式ガイドによると、JPYなどのPrivate Offer(プライベートオファー)は、購入者のアカウントに設定した通貨より優先して、オファーの通貨で請求されます。購入者のAWS Cost and Usage Reportsは米ドル表示のみのため、円建ての金額は請求書で確認する必要があります。
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