販路拡大とサービス選定
AWS Marketplaceで見つけてもらうには?Agent Mode、商品説明、デモ依頼の導線
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この記事の要点
AWS Marketplaceで製品に出会う入口は、外部の検索エンジン、Marketplace内の検索、対話で探すAgent Modeの三つで、変更できる項目も、効果を確認できる場所も異なります。AWSは、AWSサービス名や準拠する基準、定量的な効果を具体的に書くと、検索順位やAIによる発見での見え方の改善に繋がると説明しています。一方で、特定の成果は保証しないと明記しています。依頼ボタンの利用にはAPN Customer Engagements Program(ACE)への所属が必要で、届いた依頼はAWS Partner Centralの招待として受け取ります。
掲載が公開されると、次に問われるのは「誰が、どこから、このSaaSを見つけるのか」でしょう。「商品ページの文章を整えれば、Googleでも、Marketplace内の検索でも、Agent Modeでも見つけてもらえる」と考えたくなります。公式資料が示す範囲では、販売者が整えられるのは、各入口が読み取る材料と、関心を持った購入者からの依頼を受け付ける窓口までです。AWSは具体的に書くことを勧めていますが、検索順位や推薦の増加は保証しないと明記しています。
本記事は、日本のSaaS販売者のマーケティング担当に向けて、掲載後に発見性を改善する運用を、2026年10月5日に確認したAWSの公式ドキュメントと発表にもとづいて整理します。入力項目や条件は変わることがあるため、設定の前には各出典で最新の内容をご確認ください。
購入者が製品に出会う入口は三つある
公式ガイドによると、購入者が製品を探す場所は、GoogleやBingなどの検索エンジンと、AWS Marketplace内の検索機能の二つです。(検索の最適化)2025年11月30日には、用途を文章で伝えると製品を提案してくれるAgent Modeが加わりました。(AWSの発表)Agent Modeの入口は、トップページ、サイトのヘッダー、検索結果、そして商品ページの質問ボタンに配置されています。(Agent Modeのガイド)
| 入口 | 購入者の動き | 公式資料が挙げる、販売者が変更できる項目 |
|---|---|---|
| 外部の検索エンジン | 検索語で探し、結果から商品ページに移動する | 商品名(ページのtitleタグになる)、短い説明(Googleのmeta descriptionにも使われる)、ハイライト |
| AWS Marketplace内の検索 | 検索語で探し、一覧から選ぶ | 商品名、キーワード(3つまで、欄全体で250文字まで)、カテゴリ(最大3つ)、ハイライト(最大3つ)、短い説明 |
| Agent Mode | 用途や要件を文章で伝え、提案、比較、提案書の作成まで進める | Agent Modeが読み取る項目の一覧は、Agent Modeのガイドに記載がない |
表の出典は、検索の最適化、Search Performanceダッシュボード、Agent Modeのガイドです。
三つの入口は、変更できる項目も、効果を確認できる場所も違います。
Agent Modeは、どんな情報から製品を選ぶのか
公式ガイドによると、Agent Modeは、AWS Marketplaceの製品カタログに、信頼できる第三者の専門知識とリアルタイムのウェブ情報を組み合わせ、検索、比較、評価の三つのAgent(エージェント)が分担して応えます。(Agent Modeのガイド)商品ページの文章は、その材料の一部にすぎません。
AWSが公開しているAWS Marketplace Model Context Protocol(MCP)サーバーの仕様からは、AIツールがカタログから受け取る項目が分かります。購入者は、好みのAIアプリケーションからこのMCPサーバーを使えます。(AWSの発表)製品の詳細として返される主な項目は、次のとおりです。(MCPサーバーのガイド)
- 商品名と説明文(長い説明または短い説明)
- ハイライト
- レビューの要約と、機能、使いやすさ、サポート、費用対効果の観点別の評価
- 無料トライアルの有無と、料金オプション(名前と説明)
- 提供形態(SaaSなど)とカテゴリ
- セキュリティ認証の一覧と、カテゴリ内の順位
- AWSの標準契約に対応しているか
- 購入、デモの依頼、Private Offer(プライベートオファー)の依頼、無料トライアルへのリンク
商品名と説明文は、書いた文章がそのままAIツールに渡る項目です。ただし、MCPサーバーはAIアシスタントがカタログを調べるための窓口です。Agent Mode本体がMCPサーバーと同じ項目を同じ重みで使う、という記述は、Agent Modeのガイドにありません。MCPサーバーが返す項目のうち、料金オプション、無料トライアル、標準契約への対応、依頼ボタンのリンクは、説明文の書き方ではなく、掲載時の設定で決まります。そのため、説明文を改善する前に、これらの設定が済んでいるかを確かめるほうが先です。
ガイドによると、Agent Modeは公開価格のない製品の個別価格には答えず、購入取引そのものも行いません。購入の段階では、商品ページ、デモの依頼、Private Offerの依頼のいずれかへ案内されます。(Agent Modeのガイド)
AWS自身は、Search Performanceダッシュボードの説明で、推奨キーワードを商品ページに自然に織り込み、その語での順位を改善するよう勧めています。これらの推奨は、AI Agentが製品を推薦し、比較し、提案書を作るAIによる発見での見え方も改善する、とAWSは説明しています。AIによる発見に向けては、キーワードを、AWSサービス名、準拠する基準(System and Organization Controls 2(SOC 2)、Health Insurance Portability and Accountability Act(HIPAA)など)、定量的な効果とあわせて書くよう勧め、AI Agentはこうした具体的な情報で、製品を購入者の意図に照合する、と述べています。(Search Performanceダッシュボード)ただし同じページには、この推奨は助言であり、特定の成果を保証しないという但し書きもあります。(Search Performanceダッシュボード)
商品説明に入れるべき材料は、用途、対象、導入条件、根拠
Agent Modeの公式ガイドは、購入者に、用途、組織の規模、技術要件を具体的に伝えるよう勧めています。(Agent Modeのガイド)購入者がその観点で質問するなら、商品説明にも同じ観点の答えが書かれていたほうが、比較の材料に使われやすくなるでしょう。次の表は、その観点を商品ページの項目に割り当てた編集上の整理で、公式の指定ではありません。
| 材料 | 書く内容 | 記載する場所の例 | 公式資料の手がかり |
|---|---|---|---|
| 用途 | どの業務の、どの課題を、どう解くか。購入者が検索や質問に使う言葉で書く | 商品名、ハイライト、短い説明 | キーワードは購入者の語彙から選ぶ |
| 対象企業 | 想定する組織の規模、部門、業種 | 長い説明 | 購入者は組織の規模を伝えるよう勧められている |
| 導入条件 | 連携するAWSサービス、契約の形態、導入の前提 | ハイライト、長い説明 | AWSサービス名とあわせて書くよう推奨されている |
| 根拠 | 取得済みの認証や準拠する基準、測定できる効果、レビュー | 説明文 | 一般的な宣伝文より、測定できる主張と具体的な機能を書くよう推奨されている |
| 価格と試用 | 比較しやすい単位の価格、無料トライアル、動画 | 料金設定、メディア | 価格を透明にし、標準の単位を使うよう推奨されている |
表の出典は、検索の最適化、Search Performanceダッシュボード、Agent Modeのガイドです。
材料を一つの文に並べる型は、たとえば次のようになります。
[購入者の言葉で書いた業務と課題]を、[方法]で解決する、[組織の規模や部門]向けのSaaS。
[連携するAWSサービス]と連携し、[取得済みの認証や準拠する基準]に対応しています。
括弧の中は、自社で裏付けられる内容だけで埋めます。裏付けられない要素は、文から外します。
下書きから始めたい場合は、AWS Partner AssistantのAI掲載支援があります。2026年6月16日の発表によると、ウェブサイト、PDF、事例資料、製品ドキュメントから掲載内容を生成し、項目別の提案と品質スコアを返します。(AWSの発表)生成された内容は自動では公開されず、通常の製品審査も受けます。(AI掲載支援)なお、入力項目ごとの条件と、下書きの検証手順は、AWS Marketplaceの商品ページ作成にまとめています。
デモとPrivate Offerの依頼ボタンが受け口になる
製品が購入者に見つかったあと、販売者が期待するのは、購入か、購入前の相談です。公式ガイドは、商品ページに表示されるボタンから、購入者がPrivate Offerとガイド付きデモを依頼できると説明しています。(Private Offerの作成)ボタンはデモの依頼とPrivate Offerの依頼の二つで、片方だけでも、両方でも有効にできます。
ボタンを使うための条件
ボタンは、SaaS、Amazon Machine Image(AMI)、コンテナ、AWS CloudFormationテンプレートの製品で使えます。(Private Offerの作成)使うには、次の二つが前提になります。
- APN Customer Engagements Program(ACE) に所属していること(Private Offerの作成)
- AWS Partner CentralとAWS Marketplaceのアカウントをリンクしていること(Private Offerの作成)
ACEへの登録後、ステータスは2週間ごとに更新され、更新が済むまでボタンは表示されません。(Private Offerの作成)
依頼ボタンを有効にする場所は、製品の状態で分かれます。新しい製品では、作成時の「Guided demo and private offer requests」で、デモの依頼とPrivate Offerの依頼を任意の組み合わせで選びます。既存の製品では、AWS Partner CentralのBuildタブで製品を選び、Request changesから「Update product information」を開いて、同じ選択をします。ボタンが商品ページに表示されるのは、新しい製品では公開後、既存の製品では変更を保存した後です。(Private Offerの作成)なお、ACEと共同販売の関係はAWS Marketplace掲載後の共同販売で、依頼のあとに作るPrivate Offerの中身はAWS MarketplaceのPrivate Offerとは?で整理しています。
依頼が届くまでの流れ
購入者がボタンを押してから、販売者に届くまでの流れは次のとおりです。(Private Offerの作成)
- 購入者が、連絡先と用途の説明をフォームに入力する
- AWSが、送信された内容を評価する
- 十分な事業背景がある依頼は、AWS originated opportunity(AWS起点の案件)として共有される。背景が足りない依頼は、リードとして共有される
- どちらも、AWS Partner Centralに招待として届く。販売者は招待を承諾し、購入者に連絡する
2026年9月9日の発表で、購入者からの依頼の受け渡しが変わりました。以前は、AWSの担当者が各依頼の適格性を手作業で確認してから販売者に知らせていました。2026年10月5日時点では、Agent型のワークフローが依頼を自動で評価し、購入者がまだ検討している間に、依頼が数分以内に販売者へ届くとAWSは説明しています。すでにボタンを有効にした販売者は、追加の手順が要りません。(AWSの発表)
公式ガイドによると、案件の招待は、承諾しないまま5営業日が過ぎると期限が切れます。顧客への連絡も、受け取ってから5営業日以内に行うよう求められています。(Private Offerの作成)
案件はAWS Partner Centralの Sell、Opportunities にある Opportunity Invitations タブに届き、Project Titleに「AWS Marketplace」を含むものがMarketplace由来の依頼です。リードは Sell、Leads にある Lead Invitations タブに届き、Lead Sourceが「AWS Marketplace」になっています。案件名は「[顧客の会社名] AWS Marketplace [Request Demo または Request Private Offer]」の形式で、デモとPrivate Offerのどちらの依頼かが分かります。(Private Offerの作成)
ボタンを有効にする前に、社内で次の三つを決めておくと、届いた依頼への対応が滞りにくくなります(AWSの要件ではなく、運用上の提案です)。
- 招待を毎営業日確認する担当者(マーケティングと営業のどちらが受け取るか)
- デモの日程を調整する担当者と、デモで見せる範囲
- Private Offerの条件を決める担当者と、承認の流れ
リードは連絡先だけで届くことがあるため、最初の連絡で用途や規模を聞き直せる文面も用意しておくと対応しやすくなります。
公開価格を外す場合の注意
Private Offerの依頼ボタンを有効にしたうえで選べる設定として、公開価格を外す選択肢があります。価格表示の設定は、2026年10月5日時点のガイドでプレビュー版の機能とされ、変更される可能性があります。この設定を有効にすると、製品は購入者に価格を見せないまま、カタログに表示されます。購入者はPublic Offer(パブリックオファー)では買えず、「Subscribe」の代わりに、Private Offerの依頼ボタンから連絡する形になります。(価格表示の更新)
前提は次のとおりです。(価格表示の更新)
- Private Offerの依頼ボタンを、先に有効にしておく。ボタンがない状態で公開価格を外すと、掲載が削除される可能性があると明記されている
- 対象は、契約ベース(contract-based)のSaaS、AMI、コンテナの製品である
- Public Offerに、有効なサブスクリプションがない。テスト用のサブスクリプションも含まれる
Agent Modeは、公開価格のない製品の個別価格には答えません。(Agent Modeのガイド)価格表示の更新のガイドとAgent Modeのガイドを並べると、価格を外した製品は、購入者が比較する段階で価格を示せません。個別に価格を決める柔軟さを取るか、比較の段階で価格が見える利点を取るかは、自社の価格の複雑さと営業の体制で決まる判断です。
自社サイトにも同じ種類の導線を設ける方法として、Buy with AWSがあります。対象はSaaS製品に限られ、公開済みのSaaS製品が少なくとも一つ必要です。(AWS Marketplaceでの製品の宣伝)なお、自社サイトからの導線は、AWS Marketplace Storefrontとは?で扱っています。
掲載後に測れるものと、変えられるもの
結局、これらの施策の効果はどこで確認するのでしょうか。入口ごとに、確認できる場所が違います。
| 入口 | 確認できるもの | 条件と注意 |
|---|---|---|
| 外部の検索 | Search Performanceダッシュボード。検索エンジン(Google)から流入しているキーワード、検索結果での順位、Googleでの月間検索量、新しいキーワード候補(最大5件)、商品名と短い説明の改善案 | AWS Marketplace Seller Prime Programへの登録または所属が必要。データは月次で更新される |
| Marketplace内の検索 | Search Performanceダッシュボードの概要では、Marketplace内の検索のデータも含むとされる。指標の内訳は、同ダッシュボードのガイドに記載がない | 外部の検索と同じく、AWS Marketplace Seller Prime Programへの登録または所属が必要。データは月次で更新される |
| Agent Mode | 推薦された回数や順位を確認できる指標は、Search Performanceダッシュボードのガイドと、Private Offerの作成のガイドに記載がない | 招待の案件名とLead Sourceから分かるのは、AWS Marketplace由来であることと依頼の種類まで。Agent Mode経由かどうかを区別する項目は、Search Performanceダッシュボードのガイドと、Private Offerの作成のガイドに記載がない。招待の数は、Agent Modeを含む商品ページ全体からの依頼の総数として捉える |
| 依頼ボタン | AWS Partner Centralの招待。Project TitleやLead Sourceで絞り込める | ACEへの所属と、ボタンの有効化が前提 |
| 自社サイトのBuy with AWS | Insightsのマーケティングにある Buy with AWS ダッシュボード | Buy with AWSを導入した場合のみ |
表の出典は、Search Performanceダッシュボード、Private Offerの作成、AWS Marketplaceでの製品の宣伝です。
Search Performanceダッシュボードの公式ガイドの例では、12月に公開されたデータは11月の傾向を示します。(Search Performanceダッシュボード)同じ月に複数の項目を変えると、順位や流入の変化がどの変更によるものか、切り分けられなくなります。そのため、一度に変える項目を絞り、翌月のデータで確かめる進め方が向いています。
製品の更新は、新規の掲載より手順が少なく済みます。公式ガイドによると、更新は、新規の製品と違って、限定公開のURLで販売者が確認し承認する手順を経ずに公開されます。(製品の提出)説明文やキーワードの変更はこの更新に当たり、月次のデータを確認しながら見直せる項目です。(製品の提出、検索の最適化)
AWS Marketplace Seller Prime Programに参加していない場合は、AWS Partner Assistantの品質スコアと項目別の提案を、見直しの手がかりにできます。(AI掲載支援)
掲載後は、自社の掲載と体制について、次の三点を確かめます。
- 用途、対象、導入条件、根拠の四つに、商品説明が答えているか
- デモとPrivate Offerの依頼ボタンが有効で、ACEの条件を満たしているか
- 届いた依頼に、5営業日以内に対応する担当者が決まっているか
掲載後の販路づくりを相談するには
本記事で扱った、商品説明の最適化、依頼ボタンの設定、AWS Partner Centralの招待への対応は、自社が進める作業で、Deshimaの機能には含まれていません。その先の販路の設計やCo-Sellの進め方を相談したい場合は、有償オプションのプロフェッショナルサービスがあります。
支援の範囲は、Co-Sellのアドバイザリーです。AWS Partner Centralの活用(Co-Sell Ready要件の充足、ACE案件の運用設計、パートナープログラムの活用)、顧客にAWS Marketplace購買のメリットを伝えて販路として機能させるセールスプロセスの設計、AWS営業との連携の仕方を含みます。内容と期間に応じて個別にお見積りするため、まずはプロフェッショナルサービスのページのお問い合わせからご相談ください。
掲載そのものの準備を進める段階であれば、Deshimaの無料のアカウントで、掲載に必要なタスクの一覧と日本語の掲載ガイドを確認できます。2026年10月5日時点で、Deshimaが対応する料金モデルは、SaaS Contract(SaaS契約。契約期間と購入する権利をあらかじめ定め、前払いまたは支払スケジュールで請求する料金モデル)のみで、従量課金(メータリング)とChannel Partner Private Offer(CPPO)は対象外です。Deshimaは更新が多いため、最新の機能と対応範囲は、無料のアカウントを作成したうえで、プロダクト内のドキュメントでご確認ください。
Deshimaの利用料と対応範囲は、トップページのFAQと料金のセクションに記載しています。