販路拡大とサービス選定
AWS Marketplace出品を自社で進めるかDeshimaを使うか|作業と費用の比較
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この記事の要点
自社で進めるか、AWSのAI機能を使うか、Deshimaを使うかは、まず料金モデルで分かれます。AWSのメータリング用Skills(スキル)の対象はSaaS Subscription(SaaSサブスクリプション。時間単位の使用量に応じて請求する従量課金の料金モデル)型だけで、2026年10月5日時点でDeshimaが対応するのはSaaS Contract(SaaS契約。契約期間と購入する権利をあらかじめ定め、前払いまたは支払スケジュールで請求する料金モデル)型です。SaaS Contract with Consumption(従量制料金によるSaaS契約。契約の料金に加えて超過分を従量で請求する料金モデル)型は、公式のSkillsの対象外で、Deshimaでも現在の対応範囲として案内していません。販売者登録、価格と契約の決定、公開申請は、どの選択肢でも自社に残ります。SaaS Contract型では、連携の実装に加えて、掲載後の仕様変更への追従と、Deshimaの販売手数料と、自社の人件費およびAWSリソースの費用の比較が分かれ目になります。
AWS Marketplaceへの出品を進めるとき、見積もりの中心になるのは、自社SaaSとAWS Marketplaceとの連携の実装です。購入後の顧客をSaaSに登録する処理と、契約の変更を受け取る処理を、誰がいつ実装するのか。2026年には、この見積もりに関わる機能がAWSから二つ公開されました。
一つは、2026年9月30日に公開された、Agent Toolkit for AWSのメータリング用Skills(スキル)です。AWS Marketplaceの従量課金の仕組みとの連携機能を、AIコーディングアシスタントから構築して検証できます。(AWS発表)もう一つは、2026年6月16日に公開された、AI支援の製品掲載(AI-assisted product listing)です。Webサイトや文書から商品ページの下書きを作り、全製品種別が対象になります。(AWS発表、AWSドキュメント)
SaaS Subscription(SaaSサブスクリプション。時間単位の使用量に応じて請求する従量課金の料金モデル)型の連携機能であれば、自社で実装するコストは、以前より小さく見積もれるようになったのかもしれません。ただ、メータリング用Skillsの対象はSaaS Subscription型だけと明記されています。(Skillsの定義)SaaS Contract(SaaS契約。契約期間と購入する権利をあらかじめ定め、前払いまたは支払スケジュールで請求する料金モデル)型の連携機能は、このメータリング用Skillsの直接の支援対象には含まれません。そのため、SaaS Contract型で支援サービスを検討するかどうかは、連携の実装と、掲載後に残る保守を、誰が担うかで分かれます。
本記事の内容は、2026年10月5日に確認したAWSの公式ドキュメントと発表にもとづきます。本記事は、Deshimaを提供する株式会社アンチパターンが執筆しています。
料金モデルで変わる選択肢
SaaS製品の料金モデルは、限定公開(limited)にしたあとで変更できません。AWS Marketplaceが用意する料金モデルは、SaaS Subscription、SaaS Contract、SaaS Contract with Consumption(従量制料金によるSaaS契約。契約の料金に加えて超過分を従量で請求する料金モデル)、SaaS Free(SaaS無料。すべての料金ディメンションを0ドルにする料金モデル)の四つです。(SaaS料金モデル)そのため、自社で進めるか、AWSのAI機能を使うか、Deshimaを使うかのうち、どれを選べるかは、最初に決める料金モデルに左右されます。
2026年10月5日時点で、Deshimaが対応するのは、SaaS Contract型だけです。従量課金(メータリング)とChannel Partner Private Offer(CPPO)は対象外で、Concurrent Agreementsには対応済みです。(Deshimaのよくある質問)メータリング用Skillsの定義(SKILL.md)では、対象はUsage-basedまたはpay-as-you-go(PAYG)と呼ぶ型、つまりSaaS Subscription型だけです。SaaS ContractとSaaS Contract with Consumptionは、Amazon Machine Image(AMI)とコンテナ製品とともに、対象外と明記されています。(Skillsの定義)なお、発表では、このSkillsがConcurrent Agreementsに対応することと、既存の販売者がメータリング記録を点検、デバッグ、分析するのを支援することも挙げられています。(AWS発表)
| 料金モデル | メータリング用Skills | Deshima |
|---|---|---|
| SaaS Contract | 対象外 | 対応 |
| SaaS Subscription | 対象 | 対象外 |
| SaaS Contract with Consumption | 対象外 | 現在の対応範囲として案内していない(契約部分だけの支援は個別にご相談ください) |
| Concurrent Agreements | 対応 | 対応済み |
自社で実装する選択肢は、どの料金モデルでも残ります。SaaS Contract型で足りるなら、連携の実装は自社かDeshimaかの選択になります。メータリング用Skillsは、SaaS Contract型を対象外としているためです。SaaS Subscription型なら、自社で実装するか、公式のメータリング用Skillsを使うかが候補で、2026年10月5日時点でDeshimaは選べません。SaaS Contract with Consumption型は、公式のSkillsの対象外です。Deshimaでは、SaaS Contract with Consumptionの製品は、従量部分の送信を伴うため、現在の対応範囲として案内していません。このため、SaaS Contract with Consumption型では、従量部分の送信は自社で実装することになり、契約部分にDeshimaを使えるかは個別の相談になります。CPPOを主な販路にする場合、Deshimaは選べません。なお、商品ページの下書きには、どの料金モデルでもAI支援の製品掲載を使えます。
料金モデルの違いそのものは、AWS MarketplaceのSaaS料金モデルで比較しています。メータリング用Skillsの対象工程とDeshimaの範囲は、AWS公式のメータリング支援AIで何ができる?で詳しく整理しています。
掲載の手続きと商品ページの準備
販売者登録から公開申請までの作業のうち、連携の実装の前後にあるものを先に並べます。工程の全体像はAWS MarketplaceにSaaSを出品する方法にまとめています。
| 作業 | 自社で進める場合 | AWSのAI機能(メータリング用Skills/AI支援の製品掲載) | Deshima |
|---|---|---|---|
| 販売者登録、税務、口座、本人確認 | 有料製品には、税務情報、USDを受け取れる銀行口座、口座の検証が必要。日本で事業登録された販売者は、購入者の所在地にかかわらず、割賦販売法にもとづく確認をAWS Partner Centralのセルフサービスで行う(資格要件、本人確認) | どちらも記載なし | 日本語の掲載ガイドと掲載タスク一覧で支援 |
| 価格と契約の設計 | 料金モデル、料金ディメンション、End User License Agreement(EULA)、返金条件を自社で決める | どちらも記載なし | 日本語の掲載ガイドで支援 |
| 商品ページの作成 | タイトル、説明文、ロゴ、キーワード、サポート情報などを用意する(SaaS製品設定) | AI支援の製品掲載。WebサイトのURLや文書から掲載内容の案を作り、品質のスコアと改善案を返す。内容は人が確認して貼り付け、公開も自社の操作(AWSドキュメント) | 日本語の掲載ガイドで支援 |
| 公開申請と審査 | 公開への変更を申請し、AWS Marketplace Seller Operationsチームの承認を受ける(SaaS製品設定) | AI支援の製品掲載で作った掲載の審査は、手作業で作った掲載と同じ流れ(AWSドキュメント) | 申請は自社。公開はAWSの審査を経る |
掲載の手続きのうち、AI支援の製品掲載が手伝えるのは商品ページの下書きで、Deshimaが支えるのは日本語の掲載ガイドと掲載タスク一覧です。販売者登録、価格と契約の設計、公開申請の判断と手続きは、販売者の法人が自分のアカウントで行うため、どの選択肢を選んでも自社に残ります。なお、日本の法人の本人確認はAWS Marketplaceの本人確認、掲載内容の準備は商品ページ作成のチェックリストで個別に整理しています。
連携の実装は、どこまでが自動化の対象か
自社と支援サービスの分担が分かれるのは、購入後の登録から契約変更の受け取りまでの処理です。
| 作業 | 自社で進める場合 | メータリング用Skills | Deshima |
|---|---|---|---|
| 購入後の登録フロー | 登録URLがトークン付きのPOSTを受け、ResolveCustomerで購入者を特定する(出品に使ったアカウントから呼び出す)。SaaS ContractとSaaS Contract with Consumptionでは、続けてGetEntitlementsで契約内容を確認して保存する。SaaS Subscriptionでは、GetEntitlementsを使わず、CustomerAWSAccountId、LicenseArn、ProductCodeを保存する(SaaS Contractの連携、SaaS Contract with Consumptionの連携、SaaS Subscriptionの連携、ResolveCustomer) | SaaS Subscription型の連携機能の構築の一部として支援。SaaS Contract型は対象外 | 利用申請フォームを提供し、購入者と契約の情報の同期を自動化 |
| 契約変更と購読状態の通知 | SaaS ContractとSaaS Contract with Consumptionでは、Amazon EventBridgeのルールでAmazon Simple Queue Service(Amazon SQS)などを通知の送信先に設定し、License Updatedを受けたらGetEntitlementsで確認して反映する。このイベントを受けるまで、顧客の利用を有効にしない。SaaS Subscriptionでは、購読の成功、解除の手続き中、解除、失敗の通知を受けて顧客の状態を更新し、購読の成功の通知を受けるまで使用量を送らない(SaaS Contractの連携、購入者の受け入れ、SaaS Subscriptionの連携) | Amazon EventBridgeを含むSaaS Subscription型のパイプラインを生成してデプロイ。SaaS Contract型は対象外 | セラーアカウントの連携で、AWS IAMロールとAmazon EventBridgeルールを自動作成 |
| テナントへの結び付けと契約に応じた制御 | 自社で実装する | 記載なし | 購入者と契約の情報を取得して同期し、利用申請フォームで回収した情報をAmazon EventBridgeにイベントとして発行する。そのイベントを既存のユーザーやテナントに結び付け、契約に応じた機能、数量、利用可否を反映する処理は自社が実装する。具体的な分担は、導入する構成に応じて確認する |
| テスト | 許可リストのアカウントで契約または購読を結び、リダイレクト、顧客情報の保持、解約や失敗の扱いを確認してから、AWS Marketplace Seller Operationsチームに通知する。SaaS ContractとSaaS Contract with Consumptionでは、権利が返らない場合の扱いも確認する。SaaS SubscriptionとSaaS Contract with Consumptionでは、使用量の記録の送信も確認する(SaaS Contractの連携、SaaS Contract with Consumptionの連携、SaaS Subscriptionの連携) | SaaS Subscription型の連携機能について、本番前のエンドツーエンドテストを支援。SaaS Contract型は対象外 | 利用申請フォームを設定して、登録フローを検証する |
権利の確認(GetEntitlements)は、SaaS ContractとSaaS Contract with Consumptionの作業で、SaaS Subscriptionでは使いません。(SaaS Subscriptionの連携)使用量の送信(BatchMeterUsage)は、SaaS SubscriptionとSaaS Contract with Consumptionの作業です。(SaaS Subscriptionの連携、SaaS Contract with Consumptionの連携)SaaS Subscriptionでは、使用量の送信はメータリング用Skillsの対象で、Deshimaは対象外です。SaaS Contract with Consumptionでは、使用量の送信は公式のSkillsの対象外で、Deshimaも現在の対応範囲として案内していないため、自社で実装します。
Deshimaが担うのは、購入者と契約の情報の取得と同期、利用申請フォーム、Amazon EventBridgeへのイベント発行です。自社SaaSでは、そのイベントを既存のユーザーやテナントに結び付け、契約に応じた機能、数量、利用可否を反映する処理を実装します。具体的な分担は、導入する構成に応じてご確認ください。実装の全体像はAWS MarketplaceのSaaS連携に必要な実装に、テストの観点はSaaS審査で確認することにあります。
掲載基準には、これらの処理の外側にも条件があります。顧客がSaaS内で契約や利用の状況を確認できること、サポートの連絡先に簡単にたどり着けること、既存のアカウントを持つ顧客が登録ページからログインできることなどです。(SaaS製品のガイドライン)外部サービスが発行するイベントだけで、この条件を満たす設計になるかどうかは、依頼前に確かめておく項目です。
掲載したあとに残る保守
連携機能を実装し終えても、AWS Marketplace側の仕様は変わり続けます。
2026年2月26日、AWSは同じAWSアカウントが同じ製品に複数の契約を保有できる機能を発表しました。SaaS製品では、契約に関する通知の受け取りをAmazon EventBridgeに切り替え、権利確認と従量課金のAPIを更新する必要があり、2026年6月1日以降の新規SaaS製品では対応が必須とされました。(AWS発表)新しく実装する連携機能では、ResolveCustomerの応答でCustomerIdentifierが設定されず、CustomerAWSAccountIdとLicenseArnで顧客を識別します。(ResolveCustomer)同じアカウントが複数の契約を保有できるなら、アカウントだけで契約を区別する保持の仕方は成り立たなくなります。
既存の製品は自動では移行されず、移行はオプトインです。(移行ガイド)Amazon Simple Notification Service(Amazon SNS)は、2026年7月15日より後に販売者アカウントを登録した場合は使えず、Amazon EventBridgeを使います。同日以前に登録している場合は、引き続きAmazon SNSを使えると案内されています。(SaaS Contractの連携)Amazon SNSや旧APIの廃止日は示されていないため、すでに登録済みの販売者にとって、既存製品の移行時期は自社の判断です。その判断と移行作業は、既存製品の保守担当に残ります。移行ガイド自体も、2026年6月8日の公開後、6月12日、7月24日、9月11日と更新が続いています。(移行ガイド)新仕様の詳細はConcurrent Agreementsとは?にあります。
自社で実装した場合、この種の変更を追うのは自社の担当です。連携コードを書いた担当者が別の業務に移ったあとでも、更新は誰かが引き受けなければなりません。AWS Marketplace側の仕様変更への追従は、Deshimaが担います。(Deshimaのトップページ)ただし、Deshima自体の仕様変更(破壊的な変更を含む)で、利用者側の対応が必要になる可能性は残ります。追従の範囲と時期、Deshima自体の変更の事前の通知と移行の支援は、個別にご相談ください。
メータリング用Skillsは、発表では既存のメータリング記録の点検、デバッグ、分析も支援するとされています。ただ、Skillsが生成する連携コードとAWS CloudFormationスタックは、自社の環境に配置されます。(AWS発表)そのため、仕様変更に合わせて更新する作業は、自社の担当と見込んでおくのが妥当でしょう。
掲載にかかる費用の内訳
AWSに支払う手数料
AWS Marketplaceの手数料は、手数料の対象となる契約総額(税抜)にもとづきます。SaaSのPublic Offer(パブリックオファー)は3%です。Private Offer(プライベートオファー)は契約総額が100万USD未満で3%、100万USD以上1,000万USD未満で2%、1,000万USD以上で1.5%、更新は1.5%です。(AWS Marketplaceの手数料)AWSの手数料はどの選択肢でも変わらないため、比較の対象になるのは、実装と運用の費用です。なお、手数料の詳しい違いはAWS Marketplaceの手数料はいくら?にあります。
実装と運用の費用の構造
| 項目 | 自社で進める場合 | メータリング用Skillsを使う場合(SaaS Subscription型) | Deshima(SaaS Contract型) |
|---|---|---|---|
| 初期費用 | 実装とテストの人件費 | 実装とテストの人件費。Agent Toolkit for AWS自体に追加料金はない。AIコーディングアシスタントの利用料は別(Agent Toolkitの概要) | Deshimaの利用料は0円。自社側の設定とテスト、テナントへの結び付けと契約を反映する処理の実装工数は別 |
| 月額費用 | 運用と保守の人件費 | 運用と保守の人件費 | Deshimaの利用料は0円。自社側の運用と、テナントへの結び付けと契約を反映する処理を保守する工数は別 |
| 自社のAWSアカウントに発生するAWSリソースの費用(初期費用と月額費用の両方) | 登録URLを受ける処理、Amazon EventBridgeルールの送信先のAmazon SQS、顧客情報の保存先などの標準料金。金額は構成で変わる | デプロイしたAWSリソースの標準料金。金額は構成で変わる | Deshimaが作成するAmazon EventBridgeルールで受け渡すイベントの料金(課金の有無と区分は確認が必要)と、イベントを受ける自社SaaS側のAWSリソースの費用。金額は構成で変わる |
| 売上に連動する費用(AWSの手数料を除く) | なし | なし | Deshimaの販売手数料のみ。料率は個別提案 |
| 仕様変更への追従 | 自社の開発計画に入れる | 自社の開発計画に入れる(生成物が自社の環境に配置されるため) | AWS Marketplace側の変更にはDeshimaが追従する。Deshima自体の仕様変更で、自社に対応が生じる可能性はある |
AWSの手数料は、どの列にも同じ条件で発生するため、この表には含めていません。
Deshimaの利用料は、初期費用と月額費用が0円で、費用が発生するのは売れたときの販売手数料だけです。(Deshimaの料金)Deshimaでは、掲載ガイドの閲覧、アカウント連携、フォームの作成、掲載までは無料で、費用が発生するのはAWS Marketplace経由で販売が発生したときです。(よくある質問)自社で実装する場合の費用は、売上が立つ前から、人件費と連携用AWSリソースの費用として発生します。Deshimaを使う場合も、AWS Marketplaceの手数料と、自社のAWSアカウントに発生するAWSリソースの費用は別にかかります。自社側の設定とテスト、テナントへの結び付けと契約を反映する処理の実装にかかる工数も別で、工数とAWSリソースの費用は売上が立つ前から発生します。一方で、売上が大きくなれば、Deshimaの販売手数料が、自社で進める場合に比べて減らせる費用を上回る可能性もあります。
その分岐点は、次の式で見積もれます。
分岐点となる年間売上 =(自社で進める場合の年間コスト − Deshimaを使う場合に自社に残る年間コスト)÷ Deshimaの販売手数料率
自社で進める場合の年間コストには、初期実装の人件費を何年かに按分した額、保守と問い合わせ対応の人件費、連携用AWSリソースの年間の費用を入れます。Deshimaを使う場合にも、イベントを既存のユーザーやテナントに結び付け、契約に応じた機能、数量、利用可否を反映する実装は自社に残り、自社のAWSアカウントのAWSリソースの費用も発生するため、その人件費とAWSリソースの費用は差し引く側に入ります。AWSの手数料は、どちらの側にも同じ条件で発生するため、この式には入れません。料率は2026年10月5日時点で個別提案のため、数値は見積もりを取ってから式に入れることになります。手数料の算定対象となる売上の範囲によって式に入れる売上も変わるため、その範囲も合わせて確認します。
この式は、料率が一定で、自社で進める場合との費用の差が売上によらず一定の場合の概算です。段階料率や最低料金が設定される場合は、売上の区分ごとに、Deshimaの販売手数料と費用の差を計算します。
式に入らない項目もあります。連携の実装と保守に充てた開発者の時間を、SaaS本体の開発に使えた場合の機会費用です。この機会費用の大きさは、自社の開発計画の混み具合で決まります。
向き不向きの目安
自社で進めるほうが適するのは、次のような場合です。
- SaaS Subscriptionが必要で、2026年10月5日時点でDeshimaが選べない
- SaaS Contract with Consumptionが必要で、従量部分の送信を自社で実装する(契約部分にDeshimaを使えるかは個別にご相談ください)
- CPPOを主な販路にする
- 認証、課金、テナント管理を自社で作り込んでおり、購入後のフローをその仕組みに合わせて細かく実装したい
- 連携の保守担当を置き、仕様変更を追う体制を確保できる
- 外部サービスに、自社のAWSアカウントへのAssumeRoleによる接続を許可できない方針がある
Deshimaが検討しやすいのは、次のような場合です。
- SaaS Contract型で足りる
- 掲載のための開発を、SaaS本体の開発と競合させたくない
- 日本語の手順書を見ながら、掲載の全体像を確認して進めたい
- 売上が立つ前は、支援サービスの費用を発生させたくない(自社側の工数とAWSリソースの費用は別にかかる)
商品ページの下書きにAI支援の製品掲載を使う作業は、連携の実装方法とは別の工程で、どの選択肢とも組み合わせて検討できます。SaaS Subscription型の連携機能を自社で実装する場合は、メータリング用Skillsも候補になります。従量課金の実装の論点はメータリング実装にまとめています。
依頼前に確認すること
支援サービスを使うなら、Deshimaに限らず、次の項目を事前に確認します。「Deshimaの現時点の対応」は、2026年10月5日時点の内容です。
| 確認する項目 | Deshimaの現時点の対応 |
|---|---|
| 対応する料金モデルとオファー | SaaS Contract型。SaaS SubscriptionとCPPOは対象外。SaaS Contract with Consumptionは現在の対応範囲として案内していない。メータリング管理は構想中で、提供時期は約束していない |
| Concurrent Agreementsへの対応 | 対応済み |
| 接続の権限と認証情報の扱い | 最小権限のAWS IAMロール、ExternalId付きAssumeRole。アクセスキーは預からない |
| Deshimaと自社SaaSの分担 | Deshimaが担うのは、購入者と契約の情報の取得と同期、利用申請フォーム、Amazon EventBridgeへのイベント発行。自社SaaSでは、そのイベントを既存のユーザーやテナントに結び付け、契約に応じた機能、数量、利用可否を反映する処理を実装する。具体的な分担は、導入する構成に応じて確認する |
| 費用 | Deshimaの利用料は、初期費用と月額費用が0円で、販売手数料のみ。料率は個別提案。AWS Marketplaceの手数料、自社の実装と運用の工数、AWSリソースの費用は別 |
| Deshima自体の仕様変更(破壊的な変更を含む)の通知と移行 | 個別にご相談ください |
| サポートの体制と解約時の手続き | 個別にご相談ください |
| 英語での掲載 | 対応 |
(詳細はDeshimaのトップページとよくある質問にあります。)
選ぶ前に決めておくこと
SaaS Subscriptionでは、連携機能を自社で実装するための補助として、メータリング用Skillsが加わりました。SaaS ContractはこのSkillsの対象外で、判断が残るのは二点です。自社の料金モデルがDeshimaの対応するSaaS Contract型に収まるかどうかと、収まるとして、掲載後に仕様変更を追う担当を自社に置くか、外部に委託するかです。前者は掲載の設計の段階で決まり、後者は費用の式に数値を入れて判断できます。
SaaS Contract型で進める見通しが立ち、Deshimaを候補にする場合は、無料のアカウントで、掲載タスク一覧と連携手順を確認できます。Deshimaの対応範囲はSaaS Contract型のみで、従量課金とCPPOは対象外です。Deshimaは更新が多いため、最新の機能と対応範囲は、プロダクト内のドキュメントでご確認ください。
共同販売の仕組みそのものは、AWS Marketplace掲載後の共同販売で整理しています。